冷蔵庫の食材、「指定席」決め整理 保存容器は透明に
食材や調味料でごちゃごちゃの冷蔵庫。必要なモノが見つからずイライラ感は増すばかり。むやみに詰め込まず、簡単なルールを守って収納力と使い勝手をアップする整理術を探った。
冷蔵庫で一番使うのが冷蔵室だ。まとめ買いしたモノは無意識に空いている場所に詰め込まれ、庫内は隙間なしの状態。賞味期限切れの迷子も多い。料理研究家の島本美由紀さんは「整理のポイントはモノの指定席を決めること」と話す。
取りにくい上段には、日持ちするパン粉や粉物、2リットル入りなど大きなペットボトル飲料を入れるとよい。2リットル入りボトルは横にすると取り出しやすくなる。缶ビールは底にクリップなどを付けて傾けたトレーに横にして入れる。1本引き抜くと次のビールが転がってくるので便利だ。
カレーや味噌汁 鍋のまま収納
最も取り出しやすい中段には使用頻度が高い食材や賞味期限が短めな食品を収納する。下段は、汁物などこぼれやすいおかずやビン類など重い食材に適している。スペースの半分を開けておくのがポイント。カレーや味噌汁などを鍋のまま収納できるからだ。
作り置きや夕食の残り物の保存には、透明な保存容器を用意しよう。中サイズを4~6、大小をそれぞれ2個ずつ。ガラス製なら臭いや汚れが気にならない。扉を開けたら横からでも中身が分かり、残りの分量を把握できる。目的のモノがすぐに見つかるだけでなく、食品管理もしやすく、二重買いなどの無駄も防げる。理想は収納を7割以下にとどめること。「庫内の照明が内部全体を照らせるようにするのが目安」(島本さん)
グループ分けも有効だ。朝食や弁当など用途や種類別に底の浅いトレーに入れる。例えば朝食用トレーにはジャムやバター、野菜ジュース。弁当用にはのりやふりかけ、つくだ煮などをまとめておく。トレーを引き出すだけで慌ただしい朝の準備はほぼ整う。棚の奥に置くことが多い味噌などは取っ手付のトレーに入れると取り出しやすい。開閉時間も短く冷気が逃げにくい。省エネ効果と調理作業の時短にもつながる。
扉にあるドアポケットも整理しよう。すぐに倒れてしまうチューブ式調味料やマヨネーズ、ケチャップは「半分に切ったペットボトルにまとめればすっきり収納できる」(島本さん)。専用の容器もあるが、ドアポケットはペットボトルの収納を想定しているので大きさがちょうどいい。
底に埋もれがちな薬味やカラシなどの小袋は、100円ショップなどで手に入る小物入れが役立つ。削り節やすりごまなどやや大きめのビニールパックは封を折った状態で、ドアポケットにクリップで留めておく。場所も取らず、簡単に取り出せる。
ドアポケットは分かりやすい収納場所だが、気がつくといつ開けたか分からない調味料が並んでいることがある。いざ必要となった時は賞味期限切れという苦い経験を味わった人も多いはずだ。あまり使わない調味料や香辛料は蓋部分に開栓日を記しておけば買い替え時期が分かる。
発酵食品保存 チルド室が最適
冷蔵室の機能も有効に使おう。例えばチルド室。冷蔵室の一番下でケース状になっていることが多い。セ氏零度程度と冷蔵室(4度)よりも低温で、食品が凍ることがなく「納豆やキムチ、チーズなど発酵食品の保存に最適」(島本さん)。マイナス3度程度と微冷凍保存が可能な「パーシャル機能」がある場合は、肉や魚など生鮮食品や料理の下ごしらえの一時置き場に向いている。
シャープで冷蔵庫販売を担当する大塚雄一さんは「開放型キッチンの普及で冷蔵庫の中を目にする機会が増えた」と話す。
家電各社は収納で独自性を打ち出す。日立はセンサーで温度を調整し、カレーなどが60度程度の温かい状態でも鍋ごと入れられる。シャープはサイズの異なるポケットを段々畑のように配置したドアポケットを採用。パナソニックはドアの棚を1段増やした。「同じ収納でも中身が見られたくないかばんとは違う」(パナソニック冷蔵庫商品課の山本秀子さん)
「冷蔵庫は使う人の心の状態や暮らしぶりを映し出す鏡」。島本さんは、心が乱れ、ゆとりがなくなると、収納も荒れてくるという。心にゆとりを持つことも収納術には欠かせないようだ。
(佐々木聖)
[NIKKEIプラス1 2018年1月20日付]
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