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身ぶり手ぶりでわかりにくい耐震補強を丁寧に説明するピタコラムの森さん

身ぶり手ぶりでわかりにくい耐震補強を丁寧に説明するピタコラムの森さん

矢作建設工業子会社で耐震補強工事を手掛けるピタコラム(名古屋市)の森恒明さん(57)は会社全体の耐震工事の売り上げのうち4分の1を稼ぎ出す。矢作建設に入社して法人や個人への営業を経験し、顧客に応じた提案術を確立。社長賞を4回受賞したスキルで出向先の子会社を一手に担う。

「地震が起きると、家はどう動くか知っていますか」。森さんは木造建築住宅の耐震補強工事を売り込む前に、耐震工事が必要な理由を客が納得するまで詳しく説明する。実はスキルの肝はその前。客の服装や所有する車の色、車種などをチェックしている。

客の性格を分析し、段階を追って丁寧に説明する。例えば「工事の金額できっともめるな」と思ったときは一つ一つ納得してもらい、客の警戒心を解いていく。それが、経験から得た「方程式」だ。

◇     ◇

4歳からピアノを始め大学まで音楽家を目指していた。しかし大学時代に限界を感じ「新しいことに挑戦したい」と地元の矢作建設に入社した。建設現場での研修を経て配属されたのが、企業や学校が相手の法人営業だった。

初めての担当は夏の甲子園に出場経験のある名古屋市内の名門の学校法人だった。校舎など校内のあらゆる施設はゼネコン大手2社が丸取りしていた。まずは教職員や事務職員と顔見知りになろうと「とにかく毎週足を運んだ」。学校法人の事務方トップの事務局長と面会するまでに5年かかった。

「あなたのような若い方が何のご用ですか」。初めは事務局長の威圧感に気押されたが、その後も通い詰めた。1年半後、事務局長から「この物件をやってみるかい」と2棟の部室棟の案件を紹介される。森さんは各部活動の顧問や教職員、事務職員から話を聞き、職員会議にも同席させてもらい、徹底してニーズを洗い出した。

コンペ(提案競技)では大手2社との対決となったが、ニーズに忠実に応えた提案をした矢作建設が初受注した。担当になってから6年半。「営業は顧客と信頼関係をつくり、いかにニーズに沿った案を示せるかの『提案力』が勝負だ」と確信した。

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