カツサンドから弁当へ まい泉のケータリングなぜ倍増
井筒まい泉 岡部淳司さん
井筒まい泉の岡部淳司さん
サントリーグループでとんかつ専門店を運営する井筒まい泉(東京・渋谷)のケータリング事業の2017年売上高は6年連続で伸び5年前の約2倍となる見込みだ。陣頭に立つ営業開発本部営業課長、岡部淳司さん(43)は学校行事や会議などの大口受注を狙い、分野別に対象を絞りリストを作成。新規開拓を進めている。
「どこから攻めていったらいいか」。営業活動の前や社内会議で、岡部さんは「ターゲットリスト」と呼ぶ資料をじっと見つめる。リストには学校や企業・団体の名称やそれぞれの年間行事などがカテゴリー別にずらりと並ぶ。売り上げを伸ばすために欠かせないデータベースだ。
例えば学校の場合「小さい頃からまい泉のとんかつを食べてもらえれば、ファンづくりにつながる」。小中高一貫校はどこか、入学式や卒業式、謝恩会といった年間行事はいつか、つぶさに調べ上げる。テレビ局なら報道の部署は選挙のとき、バラエティーの部署は番組編成のときにそれぞれ忙しくなり、弁当を配達するケータリングの需要が高まるだろうと見込みを立てる。「対象を整理して目標を明確にする」ことで成功率を高める戦略だ。
「もともと営業畑ではなく、最初はどうしていいか正直わからなかった」。今でこそリーダーとしてトップセールスをたたき出しケータリング事業の売り上げを引っ張っているが、08年に同事業の立ち上げを任されるまではレストランのホールマネジャーだった。
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専門学校を卒業後、ホテル勤務を経て02年に井筒まい泉に中途入社。青山本店(東京・渋谷)のレストランに配属された。当時はケータリング事業といっても、近隣の企業や町内会といったなじみの顧客から電話で注文を受けて届ける程度にとどまっていた。「取引を増大させるには大口の受注を狙わなければ」。そこでターゲットリストを作成し訪問営業を始めた。