『バーフバリ 王の凱旋』 インド映画の楽しさ詰まる
昨年4月に公開された「バーフバリ 伝説誕生」(2015年)の続篇(へん)にして完結篇。前作はインド本国の興行収入記録を破って歴代1位に立ち、17年4月に封切られたこの後篇は、さらにその記録を更新した。
インド映画のたのしみがみっしりとつまった超大作である。架空の古代王国における王位継承をめぐる争いを軸に、英雄バーフバリの父子2代にわたる活躍を見せる。想像力とVFXを極限まで駆使したアクション、甘い夢のような恋、複雑にからみあった王族の陰謀劇。息つく間もない展開の大長篇ものがたりだ。
前篇では、生まれたばかりの主人公が、王国から逃れて、ある村で育てられ、青年になってから巨大な瀧をのぼり切って王国にもどる。そこで自分が王子であることを知り、また過去の複雑な経緯を知っていく。
今回はそのつづきで、過去から開幕。アマレンドラ・バーフバリ(プラバース)は、国母シヴァガミから正当な王位継承者というお墨付きをえたが、シヴァガミの夫と息子バラーラデーヴァは、バラーラデーヴァを王にするため策謀する。
ついに彼らはバーフバリを暗殺し、その妻を鎖につなぐ。生まれたばかりの息子は、前篇のとおりに……。
こうして25年後、すべてを知った王子マヘンドラ・バーフバリ(プラバース2役)は復讐(ふくしゅう)に立ちあがる。
最後は、前篇で大いに活躍した叛乱(はんらん)軍の女戦士アヴァンティカ(タマンナー)らとともに、宮廷をぶっこわすようなハデな戦闘がくりひろげられ胸がすく。
だが、中盤の宮廷陰謀劇や国母とバーフバリの妻デーヴァセーナ(アヌシュカ・シェッティ)のしゅうとめと嫁の確執は陰にこもり、前篇のひたすら前に向かって大またに進んでいくような痛快さがやや減退。とはいえ見どころは多い。監督・脚本は「マッキー」のS・S・ラージャマウリ。2時間21分。
★★★
(映画評論家 宇田川幸洋)
[日本経済新聞夕刊2018年1月5日付]
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
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