エストは皮膚科学の研究成果を商品開発に生かした機能訴求型の化粧品。池袋本店がそろえる商品は約170点で「他のスキンケア商品に比べても提案の引き出しは多い」。この強みを最大限生かすためにも30~40分の接客の間、「美白」なのか「潤い」なのか顧客の求める肌を丹念に聞き取り、それぞれに最適の商品を提案する。

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エストの中心顧客は30~40代。仕事で実績を積み、生活に余裕のある人が多い。一方、加齢に伴い様々な美容の悩みを抱える年齢でもある。葛藤を抱えつつ、日々肌のケアに取り組む女性たちから、くつろいだ気分で話を聞き出すため、週末の過ごし方などプライベートな質問も織り交ぜる。

もう一つ心を砕くのは、商品に加え「プラスアルファ」の価値を提供することだ。エストの主力商品の価格は1点5000~3万円程度。花王のスキンケアブランドの中でも特に高級だ。商品に対する満足度が高いのは当たり前。それに加えて「店に来てよかった」と感じてもらえることの重要性を感じている。

売り場に設置した肌質計測装置なども駆使し、客の肌の水分の状態などを調べ、客とともにスキンケアの課題を探る。仮にその場で購入に結びつかなくても、顧客が自身の肌への気づきをサポートすることが次回以降の来店につながる。

高校生の頃、自宅近くの総合スーパー(GMS)で目当ての化粧品が見つからず、たまたま足を踏み入れた花王の化粧品販売店。そこで受けた接客の「心地よさ」が美容部員を目指した契機だという。「もし、よろしければお試しになりませんか」――。その時、親切な美容部員から受けた小さな感動を再現することが目標だ。

インバウンド(訪日外国人客)消費の盛り上がりで好況に沸く化粧品市場だが、年々無人のセルフ売り場の比重も高まっている。対面販売ならではの満足感を提供するためには何が必要か。最高の接客を目指し、今日も試行錯誤は続く。

(松井基一)

さとう・ようこ
2005年花王化粧品販売(現花王カスタマーマーケティング)入社。大丸東京店などを経て13年から西武池袋本店エストコーナーに勤務。17年7月からチーフビューティアドバイザー。千葉県出身。

[日経産業新聞2017年12月28日付]

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