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ニッキィの大疑問

サッカーW杯、日本の勝機は? 前評判を覆せるか

2017/12/25付 日本経済新聞 夕刊

サッカー日本代表は新ユニホームに伝統の「勝色」を採用した(サッカーショップKAMO原宿店)

 4年に1度のサッカーワールドカップ(W杯)が2018年6~7月、ロシアで開催されるわね。日本代表は6回連続の出場で、過去2回のベスト16が最高位だわ。国民の期待を背に、好成績を残せるかな。

 サッカー日本代表のW杯での戦い方について、岩下智子さん(39)と西條恵子さん(42)が武智幸徳編集委員に聞いた。

――現在の日本代表はどのような戦い方をしていますか。

 「チームを率いるハリルホジッチ監督は『ショートカウンター』と呼ばれる戦い方を重視します。相手ゴールに近い、いわゆる高い位置でボールを奪い、手数をかけずに相手ゴールに迫ります。前回14年大会でザッケローニ監督が目指した、確実にパスをつないで能動的に攻める『ポゼッション』というスタイルとは対照的といわれています」

 「ショートカウンターは、積極的に前に出てくる強者には有効ですが、アジア予選では自陣に閉じこもる相手とうまくかみ合わず、苦戦もしました。W杯本大会の出場国は国際サッカー連盟(FIFA)ランキングでも日本より格上が多いので、うまく機能するかもしれません」

――約半年でどんなところを改善しますか。

 「チーム内の多数派を海外組が占め、W杯開幕前の準備期間以外は全体練習の時間がほとんど取れないので、スタイルをがらりと変えるのは現実的でありません。ハリルホジッチ監督が強調する『デュエル(1対1の強さ)』に個々人が磨きをかけつつ、グループやチーム全体で相手ボールを奪い取る手順を明確にし、守備の網の目をもっときつくしなければなりません」

 「攻めと守りをつなぐミッドフィルダー(MF)のポジションで監督が重用する井手口陽介(G大阪)や山口蛍(C大阪)、原口元気(独ヘルタ)らは体を張ってよく守備をします。ただ、奪ったボールを最前線の大迫勇也(独ケルン)に預けた後の得点パターンは、まだ確立されていません。これからどう詰めていくかが注目点です」

 「一方、メンバーを変えずに同じスタイルで戦い抜くことも、1つの試合の中でさえ難しいものです。戦術の幅を広く持っておくためには本田圭佑(メキシコ・パチューカ)や岡崎慎司(英レスター)、香川真司(独ドルトムント)といった実績のある選手の力も必要でしょう」

――1次リーグの3カ国に対し、どう戦いますか。

 「日本がベスト16に勝ち進んだ02年と10年大会は、初戦で勝ち点を挙げました。今回も初戦のコロンビア戦にかかる比重は極めて大きいです。コロンビアの積極性と、今回日本が志向する堅守速攻のスタイルとの相性は悪くないでしょう。前回大会で日本に大勝したことで向こうに油断もあるかもしれません。ただ、日本が先に失点すると前回の二の舞いになりかねません」

 「次戦のセネガルは前線に桁外れのパワーやスピードを備えた選手がいます。相手のスピードをそぐように、スペースを与えず、しつこく守って活路を見いだしたいところです。1次リーグ最後のポーランドにはレバンドフスキ(独バイエルン・ミュンヘン)という世界最高といえる点取り屋がいます。パスが渡らないようにして、前線で孤立させられればいいでしょう」

――ベスト16やそれ以上に進出できるでしょうか。

 「海外メディアの多くは、日本の入ったH組からベスト16に進む2チームはポーランドとコロンビアだとみています。外の声は、あまり気にする必要はないでしょう。難敵ぞろいではありますが、どう逆立ちしても勝てない相手ではありません。日本は10年大会のように、前評判が低いときほど成果を残しています」

 「決勝トーナメントに進んだら、ベスト16で当たるのはG組のベルギー、イングランドあたりです。ここからは一発勝負なので、日本に初のベスト8入りのチャンスがないとはいえません。準々決勝まで来ると、順当なら優勝候補のドイツやブラジルが待っています。4強を懸けどちらかと戦えるなら、選手冥利に尽きるのではないでしょうか」

■ちょっとウンチク

大会前の準備の質で明暗

 大会中の日本代表のベースキャンプ地に決まったカザニはモスクワから東へ800キロメートルほど、タタールスタン共和国の首都で人口約120万人の大都市だ。日本が1次リーグを戦う3都市のほぼ中間地点に位置し、練習もロシアリーグの強豪ルビンの施設を使える。

 前回ブラジル大会の惨敗は、拠点選びの失敗も一因とされる。拠点の冷涼な気候と高温多湿な試合会場とのギャップの大きさが問題になった。大会前の準備を16強につなげたのが2010年南アフリカ大会だ。スイスでの高地合宿は大きな収穫をもたらした。今回も欧州合宿からカザニに入り、第1戦を迎えるまでの3週間弱の準備の質が本大会の成否を大きく分ける。

(編集委員 武智幸徳)

■今回のニッキィ
岩下 智子さん 主婦。タイやインド料理の食べ歩きにはまっている。タイなら焼きそば「パッタイ」、インドならマトンカレーが気に入っている。「できれば現地に足を運んでみたい」
西條 恵子さん 主婦。10月から大学の講座を受講している。企業の財務分析やマーケティングを学ぶのと並行し、再就職活動にも取り組む。「社会復帰に向け、しっかり準備したい」

[日本経済新聞夕刊 2017年12月25日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜更新です。

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