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関東売り上げNo.1の美容部員 悩みに応える香り提案 日本ロレアル「ロジェ・ガレ」 高橋里奈さん

2017/12/25 日経MJ

「来店客の足の動きや向きにも目配りしている」という高橋さん

 日本ロレアルが展開するフランスの自然派ブランド「ロジェ・ガレ」。1862年にパリで誕生し、ブランドの始まりである香水は皇帝ナポレオン1世やその妻も愛用したとされるフランスでは誰もが知る老舗のブランドだ。ただ、日本市場への参入は2013年と遅く、消費者への知名度はまだ高いとはいえない。

 そんなロジェ・ガレを扱う美容部員として、関東地区ナンバーワンの売り上げを誇る高橋里奈さん(29)はファッションビル「ルミネ池袋」(東京・豊島)の店舗で働く。香水やせっけんの華やかな香りが漂う店内はその場にいるだけで心地よさを感じる。心地よさを接客につなげるため、高橋さんが心掛けているのは「観察すること」だ。

 なかでも、つま先と目線の向きには特に注意を払う。出口のほうに向いている場合はあえて言葉をかけることはしない。一方、特定の商品につま先や目線が向いていると確認すれば、「香り方、ご存じですか」と笑顔で話し掛ける。

 高校を卒業後、アパレルの販売員を経験し、日本ロレアルには16年に入社した。入社のきっかけはその半年前、たまたま立ち寄ったロジェ・ガレの店舗でイチジクの香りの香水に魅了されたことだったという。

 アパレル販売員としての長年の経験から「がつがつしたり、あせったりせず、ゆったりと話し掛けることを常に意識することは学んでいた」。タイミングさえ見誤ることがなければ、「自然と心を開いてくれる」という自信も持っている。

 自身で売り上げ目標を立て、入社以来、関東ナンバーワンを維持している高橋さん。その秘密は実際の接客の内容を時間帯ごとにきめ細かく記録したノートにある。休憩時間に見返し、商品を買ってもらえたとき、買ってもらえなかったときの来店客、自身の行動を振り返る。良かったことも、反省するべきことも、その都度書き込み、次の接客に生かす。

 接客する際、最も意識していることは「商品を使っている姿を連想してもらうこと」。商品の特徴を紹介しただけでは響かない。どんなとき、どんな気持ちになれるのかを具体的にイメージできる提案を心掛ける。

 ルミネ池袋の店舗は近隣で働く20~30代の女性の来店客が多い。「プレゼンの前になると緊張してしまう」「仕事でストレスを感じている」といった悩みを聞き出すと、「就寝前、枕元に香りを少し放つだけでもリラックスできますよ」と優しく語りかける。言葉を掛けるだけでなく、洗面台などを設置した店内の一角に案内し、実際に商品を試してもらう。

 そんな高橋さんを目当てに訪れる常連客も少なくない。「次の出勤はいつ」と問い合わせを受ければ、自身のノートとともに過去に購入していった商品を確認。来店当日には「プレゼンはうまくいきましたか」と過去のやり取りも振り返りながら接客するという。

 若い世代を中心に化粧品もインターネットで購入する消費者は増えている。しかし、香りを売り物にするロジェ・ガレは実店舗に消費者を呼び込むことが欠かせない。書きためたノートは高橋さんにとって、なによりの強みとなっている。

(柴田奈々)

[日経MJ2017年12月25日付]

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