大掃除「軍手ぞうきん」が大活躍 指先使い隙間も楽々

NIKKEIプラス1

信州大学繊維学部の学生らのデザインによる「軍手ィ」
信州大学繊維学部の学生らのデザインによる「軍手ィ」

今年もあと1カ月を切り、大掃除の時期がやってきた。掃除の達人たちが薦める裏技グッズが軍手だ。実際、どこまで強い味方になるのか。見て見ぬふりをしてきた自宅のホコリや汚れに、軍手一つで挑んだ。

日経プラス1で2015年、掃除の専門家らが選んだ「大掃除に役立つ裏技ランキング」を特集したところ、1位が「軍手ぞうきん」だった。ゴム手袋に軍手を重ねて装着し、ぞうきん代わりに使うワザだ。何がすごいのか。軍手掃除を勧める生活研究家、阿部絢子さんをたずねた。

「軍手は手のひらでも指1本でもホコリが取れて、掃除が楽になる」。特に有用なのが本棚の隙間やエアコンの配管パイプの上だという。「しつこいホコリにはこれを」と、自家製化学ぞうきんを軍手で作る方法を教えてくれた。

水100ミリリットルに対し、食器洗いの中性洗剤1、2滴と食用油小さじ1/4を入れて軽く混ぜ、霧吹きで軍手にしっとりするぐらい吹き付ける。この軍手で照明や家電などをなでると油分がホコリを吸着する。「冷蔵庫の上やレンジ周りを掃除するといい」

「軍手ぞうきん」と呼び、利点を広めているのは家事代行業ベアーズ(東京・中央)の副社長、高橋ゆきさん。ホコリをとるカラ拭きや洗剤拭き、水拭きを左右の手で使い分ける方法を勧めてくれた。

100円ショップで3組入り軍手5袋とゴム手袋を購入。軍手掃除に取りかかった。

まずは液晶テレビを置くリビングのサイドボード。コード類が絡み合いホコリまみれだ。「えいっ」と手をつっこんだ。ボードの隅やテレビの背面をなで、コードは1本ずつ手のひらと指で包みこみ、電源から接続部分までたぐる。大きな綿ぼこりができた。

「こんなに汚いとは」とショックを受けた。いつもの掃除用使い捨てシートだと、こまめに持ち替えて使うストレスがあったが、軍手ならなでたり、たぐったりするだけ。

指先で掃除ができるのは便利だ。リビングの照明のふちは、差し込んだ指先に力を入れ動かすとホコリや黒い汚れが取れた。エアコンの管やカーテンレールも手のひらや指の感覚できれいにできる。

ブラシが入り込めない隙間にも指なら入る。トイレなら、便座とふたの隙間や便器と本体の間など。「ゴム手袋をしているから」と自分に言い聞かせ、トイレ用洗剤を軍手に付けて、便器のふち裏をぐるりと指で確認しながら拭くと、うっすら茶色い汚れが付いてきた。「いつも念入りに洗っているのに」。脱帽だ。

高橋さんに教わった左右の手で違う掃除をするのは斬新だった。階段を左手でホコリを取り、右手で水拭き。この作業を1段ずつ下りながら腰を落として進める。

いつもは、階段を下りながらモップでホコリをとり、再び上ってぞうきんで水拭きしていた。軍手で両手を使えば手間が半分で済む。効率的だ。この方法は障子の桟やブラインドでも有効だった。

阿部さん直伝の自家製化学ぞうきんも威力を発揮した。レンジ台のタイルの壁は油を含んだホコリで少し頑固。軍手の手のひらに、教わった方法で作った洗浄剤を霧吹きで吹きつけこすると、汚れが取れた。手つかずだった冷蔵庫の上もきれいになった。

使い回しもできた。洗うのは面倒だが、汚れやすい手のひら側を左右入れ替え、破れるまで何度も使える。

新品の軍手はまずホコリ取りに。ホコリを落とし、次は水拭きや化学ぞうきんに。まだ使えそうなら手洗いして乾かし、泥で汚れた窓や網戸のレールを掃除したり、ガスレンジなど油汚れに使う洗剤をつけてこすったり。最後にトイレ掃除に使えばよい。

我が家の大掃除は道半ばで軍手は2袋残った。子どもでもできそうなので、彼らを巻き込み、ピカピカになった家で新年を迎えようと決めた。

◇  ◇  ◇

機能性・デザイン…多様に

軍手は多機能だ。名古屋工業大学とトヨタ自動車の共同研究では、熟練工が自動車の車体のボディの凹凸を調べる軍手に、触覚の刺激を増幅させる機能があることを解明した。金属プレートの表面を凹凸に沿わせ動かすと、皮膚側の編み目が動き、テコの原理で刺激が大きく伝わる。「0.1ミリメートルの凸でも山のように分かる」(佐野明人教授)

長野県上田市では、信州大学繊維学部の学部生ら30人が「ハナサカ軍手ィプロジェクト」を進行中。カラー軍手にかわいらしいデザインを施した「軍手ィ」を500円で販売。収益で子ども用「ちび軍手ィ」を製作し県内の小学1年生に配布する。実用性と防寒性を兼ね備えた軍手ライフを広めている。

(畑中麻里)

[NIKKEIプラス1 2017年12月9日付]

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