シンク下の収納、上手に区切って家事を効率化
フライパンや鍋の蓋、調味料など、キッチンのシンク下は形の違うものが勢ぞろい。収納もひと苦労で、目当てのものを探すだけで時間を浪費することもある。効率のいい収納術を探った。
シンク下の収納には2種類ある。引き出し式の「スライドタイプ」と、観音開き式の「扉タイプ」。まずはスライドタイプの収納術を求めて、パナソニックのショールームを訪ねた。
「一番大事なのはスペースを区切ること」。パナソニックエコソリューションズ社の加藤花代さんは指摘する。扉タイプと違って、スライドタイプは上から一目で調理器具が見える。「種類別に分ければ何がどこにあるのか、まとまりとして把握しやすい」
つっぱり棒やブックエンドを使えば、自由に区切ることができる。しゃもじやゴムヘラは小さく仕切ったスペースへ。鍋やボウルなど、場所を取るものは広くあいたところへ置けば、蓋をしたまま収納できる。
フライパンの上は別の調理器具の置き場所となることがしばしば。どんどん上に重なってしまい、いざ使う際、取り出すのが面倒になる。加藤さんは「縦に収納するのがおすすめ」と教えてくれた。
ブックエンドで仕切りを作り、そこへフライパンを縦に置く。場所も取らず簡単で、取っ手を手前に向ければ取り出すのも便利だ。普段からよく使うフライパンを縦に収納し、使用頻度の低いものは別の場所に置くのもいい。
調味料も、区切ったスペースへまとめれば、引き出しを開ける際に倒れる心配がない。「調味料や小麦粉は消費期限ごとにまとめると便利」と加藤さん。いま使っているものとストック用とを混同せずにすむからだ。
調理器具は使用頻度順に
では、扉タイプはどうか。整理収納コンサルタントの本多さおりさんは「まずは調理器具の使用頻度を見つめ直してほしい」と助言する。
「扉タイプはワンルームに多い。引っ越しをしてから整理せず、ものを詰めるだけのスペースと化している」と本多さん。コンサルタントとして収納作業を代行する際、一番多い依頼がキッチンのシンク下という。
普段の生活を振り返り、調理器具を「毎日使うもの」「よく使うもの」「ほとんど使わないもの」に大別する。扉タイプは奥のものが取りづらく、取り出しやすいスペースが限られる。「選別作業を徹底し、使用頻度の高いものを取り出しやすい位置に置くのが鉄則」(本多さん)
調理器具を整理できたら、いよいよ収納術の出番。活用したいのが扉の部分だ。内側にタオル掛けを付ければフライパンや鍋の蓋置きになる。フックを付けてまな板置きにしてもいい。扉を引けば手元に来るので、一番取り出しやすい位置になる。フックは100円ショップなどで様々なタイプが手に入る。
スライドタイプと違って高さがあるので、ラックをそのまま入れることもできる。フライパンをそれぞれの高さに応じたラックへ収納すれば便利。専用ケースになるため、取り出す際に場所を迷うことがなくなる。
引き出しタイプの収納ケースを入れるのもいい。本多さんは「引き出しがあればしゃがまずにすみ、負担を軽くできる」と話す。使用頻度の高いものは引き出しの上、低いものは下に収納する。ケースが半透明なら外から何が入っているのかも見えやすい。
デッドスペース 無理に埋めず
扉タイプでは、デッドスペースを何とかして埋めようとしてしまいがち。排水管部分や、高さゆえにできた上部の空間を活用しようとすると、かえって使いにくい場所になってしまう。
本多さんは「器具の使用頻度やシンク下の容量は人それぞれ。試してみて、不便だったらやめてもいい」と強調する。たとえば、奥の上部にフックを付け、ザルを掛ける技。ザルをそんなに使わない人や、無理にデッドスペースを埋めるためだけならば実践しなくていい。
本多さんは会社員時代、デスクの整理が仕事の効率を高めることに気付き、整理収納コンサルタントへ転身した。「シンク下収納ができれば日々の料理時間を短くでき、余った時間は他のことに費やせる。生活全体の効率も上がる」。シンク下を有効に使い、気持ちのいいキッチンを目指したい。
(田村匠)
[NIKKEIプラス1 2017年12月9日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。