検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

山梨名物、せいだのたまじ 小粒ジャガイモ甘辛く

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

この秋、山梨県内のスーパーにカルビーのポテトチップス「せいだのたまじ味」が並んだ。山梨県上野原市の郷土料理とある。名前からは想像もつかない「せいだのたまじ」とはどんな料理なのだろう?

「山梨県とその周辺ではジャガイモのことを『せいだいも』と呼びます」と教えてくれたのは、甲府市教育委員会の宮沢富美恵さん。「せいだ」は18世紀後半、この地域で代官をしていた中井清大(太)夫(せいだゆう)に由来する。農村振興に力を入れ、飢饉(ききん)でコメが十分に取れなくても食いつなげるように、寒いところでも育つジャガイモを導入したという。全国有用植物地方名検索辞典(生物情報社)によると埼玉、福島、愛知などでジャガイモを「甲州いも」と呼ぶことがあるように、早い時期に山梨県で栽培が始まり、周辺に伝わっていったようだ。

一方、「たまじ」は小さなジャガイモを指す方言。「せいだのたまじ」をひと言でいうと、皮付き小ジャガイモの煮っ転がし味噌味だ。上野原市棡原(ゆずりはら)に伝わる家庭料理で、直径1~3センチメートル程度のジャガイモを洗い、まずサラダ油で皮に薄く焦げ目がつく程度にいためる。その後、ひたひたより少し少ないくらいに入れた水に味噌、砂糖を加え、ふたをして煮る。水気が飛んだら火を止め、ふたを外して粗熱が取れれば出来上がりだ。

棡原は山あいの集落で稲作に向かない。大豆を育て自家製の味噌を作り、通常なら捨ててしまう小さな芋を大事にした料理だ。

家庭料理なので、市の中心でも提供する店はまだ少ないが、家庭の雰囲気そのままに食べられるのが民宿梅鶯荘だ。予約すれば泊まらず食事だけでもOKだ。コース料理はせいだのたまじを含め約16品。芋も含め食材のほとんどは、嶋崎久子さん(61)が無農薬、有機栽培で作った野菜だ。

自家製味噌は、大麦の皮(ふすま)をこうじ菌で発酵させて造った。「今使っているのは7年寝かせた味噌です」と嶋崎さん。麦味噌は時間がたつと黒くなるが、あめ色を出すには向いているという。味噌田楽に上質のサラダ油を加えたような味で、鼻に抜ける味噌の香りが心地よい。

そば店、羽置の里びりゅう館のものは、在来の千石大豆で造った味噌がポイントだ。煮た大豆をミキサーで細かくし、米麹(こうじ)と麦麹を加える。寒仕込みでゆっくり発酵させることで、味噌自体にだしがきくようになる。ジャガイモは「ねがた」という在来種が中心。食べた後でも口の中がさっぱりしている。

地域の交流施設ふるさと長寿館のせいだのたまじは、作ってから1日置く。腕を振るう石井みや子さん(62)は「温かいと味噌が落ちてからまない。冷めるときに味がしみこむ」と話す。約20年前のオープン時から人気のメニューだ。

温かいのを食べたい人には、「たまじピザ」がお薦めだ。せいだのたまじを半分に切り、味噌とマヨネーズを合わせたソースをかけオーブンで約10分間焼く。とろりとしたチーズのほんのりとした塩味が甘辛い味噌とよく合う。

ちなみにポテトチップスは、長寿館の味をもとに作られた。3カ月間の期間限定で県内スーパーと上野原市で販売したが、1カ月で売り切れ、追加製造した。地元では2018年2月にも東日本に拡大して発売するという噂が絶えない。

せいだのたまじを今年9月からメニューに取り入れたのが、和ぃ寿うどんだ。ジャガイモはいためず、だし汁、味噌、砂糖を入れ強火で煮込む。煮汁が少なくなってきた最後の10分は15秒鍋を振って15秒休むを繰り返し、まんべんなく味を付ける。「ジャガイモのホクホク感が最も残っているのではないか」と胸を張るのは運営会社の責任者、菊地原武さん(55)。新潟から取り寄せた味噌のタレはみたらし団子のよう。しつこくなく、飽きが来ない。

市職員が有志でPRグループも結成、たまじまるというゆるキャラも作った。菊地原さんは「多くの店で出すようになったらせいだのたまじ選手権をやりたい」と話す。せいだのたまじは町おこしの夢に一役買っている。

<マメ知識>油で揚げて 日持ちよく
 冬には温かいせいだのたまじを作って食べたい。料理研究家の依田萬代さん(65)が勧めるのは、いためる代わりに油で揚げ、味噌でなくしょうゆ味にする方法。ホクホク感が増し日持ちもよくなるという。
 一説では、人々は善政を行った中井清大(太)夫が去った後、上野原市の龍泉寺にほこらを建て、芋大明神としてまつったという。後にほこらは失われ、1981年に石碑が建てられた。もっとも江戸時代は芋と言えばサトイモ。痕が「いも」と呼ばれた天然痘に関するものだという説もある。

(甲府支局長 三浦秀行)

[日本経済新聞夕刊2017年11月28日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

関連企業・業界

企業:
業界:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_