強い台風、増えた? 日本近海で水温上がり発達
台風で堤防が決壊したり、住宅街が浸水したりするケースが相次いでいる
最近、勢力の強い台風がしょっちゅう日本に近づいている気がする。とても激しい雨が降って洪水や土砂崩れが起きるのも珍しくないし、不安よね。これからも強い台風が増えるのかな。
強い台風について、藤井智子さん(58)と海老沢亜希子さん(31)が安藤淳編集委員に話を聞いた。
――最近、台風による被害が目立つ気がします。
確かに「非常に強い」とか「猛烈な」といった形容詞がついた台風が接近中というニュースをよく耳にします。台風の強さは風速で、大きさは強風域の広さで決まります。2017年の台風21号は10月23日に「超大型」のまま、静岡県に上陸しました。こんなことは記録上、初めてです。
台風が近づくと大雨が降ることが多いのは、南から暖かく湿った空気を日本に運び込み雲が発達するからです。前線がかかっているとさらに危険です。17年7月の「九州北部豪雨」は長崎市に上陸した台風3号と梅雨前線が影響しました。15年9月に鬼怒川が決壊した「関東・東北豪雨」の時も、2つの台風の影響で湿った暖かい空気が大量に流れ込んだのです。
17年は大西洋でも強力なハリケーンが目立ちます。9月には「マリア」がプエルトリコに大きな被害をもたらし、8月の「ハービー」は米テキサス州を直撃しました。
――なぜ強い台風が増えているのですか。
台風は赤道近くの熱帯の暖かい海で生まれ、水蒸気が雲になる際に放出される熱を主なエネルギー源として成長します。海面水温が26~27度以上だと台風の発生や成長に最適とされます。通常は北上するにつれ海面水温は下がるので、台風も弱まります。ところが最近は日本に近づく台風があまり衰えないばかりか、勢力を増すケースも目立ちます。日本近海の海面水温が高く、台風が成長を続けられるからです。