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働き方改革、産業医が後押し 制度改正で役割拡充

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NIKKEI STYLE

企業内で労働者の健康を管理する「産業医」制度を巡り、国は今年6月、20年ぶりの大改正を実施した。電通社員の自殺問題などを受け、長時間労働やメンタルヘルス不調への対応を強化した。産業医は情報収集などの権限を与えられ、働き方改革の後押しを求められる。だが大企業では業務量が多く、産業医だけでは対応できないケースも。産業医がいない中小企業も多く、なお課題が多い。

「お仕事はいかがですか」「朝から元気というわけではないですが、電車に乗りたくないなどの感情はありません」。三井化学(東京・港)の健康管理室を訪れた40代男性職員は1年前に精神面の不調を訴え、治療を開始。投薬は中止したが、産業医面談を定期的に受け、「朝のウオーキングも続け、体調は安定している」とほっとした様子だ。

精神面の相談増加

大手化学メーカーとして有害物質対策が重視されている同社で1991年から産業医を務める土肥誠太郎・健康管理室長は「化学物質対策も重要だが、業務のほぼ半分は従業員のメンタルヘルス対応。産業医を始めた当初に比べて大幅に対応が増えた」と話す。

産業医は38年の工場法改正で大規模工場に「工場医」の選任が初めて義務付けられた。72年制定の労働安全衛生法で「50人以上の労働者」がいる事業所に選任義務が課され、96年には企業側に改善を求める勧告権が産業医に与えられた。

産業構造の変化でホワイトカラーが増加すると過労死や精神面の不調などが社会問題化。社員の健康管理で生産性を高める「健康経営」の考え方も普及し、産業医の役割は大きく変遷した。

官民が働き方改革を進める中、厚生労働省は今年6月、労働安全衛生規則を大幅に改正。企業に対し、残業が月100時間超の労働者の氏名などの産業医への報告を義務化した。

報告を受けて産業医が健康診断やストレスチェックで異常が見つかった従業員の労働時間・内容などの情報を求めたら、企業が提供する義務も新設。産業医から改善策などの「勧告」を受けた場合、労使でつくる安全衛生委員会に報告する義務も加わった。

厚労省の「産業医制度のあり方に関する検討会」の委員も務めていた土肥室長は「産業医の権限と役割が拡充され、明確化した」と改正を評価する。一方で「業務量は増え、複雑化し、責任も大きくなる。非常勤の嘱託産業医などが十分に対応できるよう、バックアップが必要だ」と訴える。

電通社員の自殺問題など過労自殺は後を絶たない。「働き方改革」を掲げて法改正を目指す政府は、柔軟な働き方ができる体制整備とともに、過労とならないように体制を整備することも喫緊の課題だ。

チーム対応が重要

「産業医だけでなく保健師、看護師などによるチームでの対応を促すべきだ」と話すのは東京工科大医療保健学部の五十嵐千代教授。がん治療などと仕事を両立したり、休職後に復職を目指したりするケースでは「医師が最終的に医学的判断をするにしても、本人の希望や家族関係などを丁寧に聞き取り、職場の上司や同僚と細かく調整する作業は医師だけでは困難だ」と指摘する。

特に専従の産業医が常駐する大企業と異なり、開業医や勤務医と嘱託契約を結ぶ中小企業では「ほとんど会社に顔を出さない産業医もおり、十分なケアが提供できない恐れもある」と強調。法令上は保健師や看護師の選任義務はないが、「産業医と他の専門職がチームを組むことで、産業医の役割拡大にも対応できるようになるはず」として、チームでの対応促進を求めている。

◇  ◇  ◇

1割超の事業所が未選任

労働安全衛生法は労働者50人以上の事業所に産業医の選任を義務付けているが、2016年の労働安全衛生調査によると、13.8%が産業医を選任していない。

産業医は日本医師会などが主催する「産業医学基本講座」を修了することなどが要件で、5年ごとに必要な研修を受ける必要がある。現在は約6万人の医師が登録しているが、日医が15年に産業医1万人を対象に実施したアンケート調査では回答した約4100人のうち、実際に活動していたのは約6割の約2500人で、この8割弱は兼業で産業医を嘱託されていた。

調査結果によると、産業医としての活動が業務全体に占める割合は「1割未満」が43.2%にも上り、「1~2割未満」と合わせると、3分の2の産業医は業務全体の「2割未満」だった。10カ所以上の事業所を兼務する産業医も122人(4.7%)いた。

産業医の選任が努力義務にとどまる労働者が50人未満の事業所でみると、実際に選任しているのは3~4割のみ。多くの中小企業の労働者が産業医による産業保健サービスを受けられていない。

厚生労働省産業保健支援室は「努力義務だが、積極的に産業医を選任してほしい」と強調。医師面談などを提供する各都道府県の地域産業保健センターの活用も呼びかけている。

(倉辺洋介)

[日本経済新聞朝刊2017年11月6日付]

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