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介護に備える

2017/11/8

介護に備える

日ごろから注意していないと本人も周囲の家族らも兆しに気付きにくく、単なる加齢によるものと軽視しがち。「本人に不快な思いをさせたくないと、家族があえて指摘しないケースもある」と千葉県歯科医師会専務理事で歯科医の久保木由紀也さんは話す。

放置するとフレイルは進む。久保木さんは「高齢者に症状が出てきたら、かかりつけの歯科医に相談するよう家族が促してほしい」と勧める。

問題は独り暮らしの高齢者だ。家族や知人と食卓を囲む人は、多様な食品を口にしたり、会話も弾んだりして唾液も出て、フレイルになりにくいとされる。独り暮らしだと、同席者もなく好きな物だけを黙々と食べがち。口の状態に関心を払いにくくなる。

久保木さんは「家族らができるだけ高齢者と食事を共にして、フレイルの兆しがないか確認する」ことを勧める。肉親以外でも、知人など日ごろ高齢者と接する人たちが、フレイルになっていないか目を配ることも大切だ。

「かかりつけの歯科医で定期的に口の健康のチェックを受け、メンテナンスをしっかり続けるのが大事」と平野部長は強調する。

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顔の筋肉トレ 50代から意識 音読・カラオケも効果

かむ、飲み込むといった口の動きは、顔回りの筋肉がしっかり動くことが前提だ。オーラルフレイルを防ぐためにも、平野浩彦部長は「50代から意識した方がいい」と話す。

効果があるのは食事の際に口の筋肉をしっかり使うこと。「体の筋肉と同じで、食べる力も意識して使わないと衰える」(平野部長)。食べ物は奥歯できちんとかむ。軟らかい物を食べると主に前歯しか使わず、かみしめるための筋肉が衰えてしまう。食べやすさで食べ物を選ぶようになると、フレイルにつながる。

口の体操も効果的だ。「パパパパ……」「タタタタ……」「カカカカ……」と、パ、タ、カの3音を短時間でどれだけ細かく発音できるかを測る「パタカラテスト」で唇や舌の機能を強化できる。千葉県歯科医師会は3音を含めたフレーズ「パンダのタカラモノ」を繰り返すことを勧めている。

本や新聞などを音読したり、カラオケで歌ったりするのも、口の筋肉を鍛えるのに役立つ。

(大橋正也)

[日本経済新聞夕刊2017年11月2日付]

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