働き方・学び方

職場の知恵

その疲れ、「デジタル生活」のせい? 対策は3つのR

2017/10/30付 日本経済新聞 夕刊

ビジネスパーソンにとって、今やパソコンやスマートフォン(スマホ)は欠かせない存在。だが仕事だからと常にデジタル機器を離さない生活を続けていると、気づかぬうちに心身にストレスがかかり体調不良などを引き起こしかねない。疲労をためないために、原因と対策を紹介する。

アロマを利用するのも効果的だ

「最近、寝ても疲れが取れた気がしない」。都内でウェブ制作会社に勤務するA子さん(28)は話す。原因として思い当たるのは、寝る直前までスマホをいじっていることだ。

国内のスマホ普及率は2016年時点で7割を超えている。そうしたなかで「職種を問わず多くの人が疲労を感じている」。そう話すのは、杏林大学名誉教授でNPO法人日本ブレインヘルス協会(東京・目黒)理事長の古賀良彦さんだ。

■9割が平日に疲労感

20~50代の男女2万人を対象に古賀氏らが8月に実施した「デジタルライフ疲労」の実態調査によると、約90%が「平日に疲労を感じる」と回答。13年前に実施した類似調査と比べ30ポイントも増加した。

また6人に1人はデジタル機器を1日に8時間以上使用している。4時間未満の人に比べ、目の疲れなどの身体的疲労も「不安感がある」などの精神的疲労も自覚している割合が高い。

デジタル機器を日常的に使う現代で、多くの人が「身体と精神の複合的な疲労、いわばデジタルライフ疲労を感じている」と古賀氏は話す。

では、なぜそのような疲労が生じるのか。

古賀氏は、普及のしかたが類を見ないくらい急速だったことを指摘する。また、テレビやラジオのようにつけっぱなしにできないのも特徴だ。情報を得てビジネスにもコミュニケーションにも生かすために、常に注意を向けて一生懸命に取り扱うことを強いる特異な機器という。身体を動かさずに長時間使うことも多い。まず目が疲れ、それが入り口となって別の疲れを呼び込む。

また、パソコンやスマホの画面から発生するブルーライトは自律神経に影響するとされる。睡眠・覚醒リズムを動かし、一日のリズムを乱す。「人にとって異質なモノが急激に、娯楽ではなくビジネスと結びついて生活に密着したことで、身体だけでなく精神も含む複合的な疲れが生じるようになった」(古賀氏)

■無理のない娯楽が効果的

対策としては、(1)Rest(休息)、(2)Relax(くつろぎ)、(3)Recreation(楽しみ)の「3つのR」が必要だと古賀氏は話す。

特に重要なのは(3)だ。「休んでくつろぐだけでは疲れは飛ばない。仕事と睡眠の間に楽しむ時間を持ち、仕事のことを一瞬忘れてリセットする」(古賀氏)。こうして疲れを翌日にひきずらないことが大事という。

仕事が絡まない友人と遊んだり食事をしたりするのはお勧めだが、毎日できるものではない。そこで、簡単な料理をする、ウクレレを弾く、ヨガをするなど、ちょっとした一人の楽しみを複数持っておく。一つだと凝りすぎてしまい「今日はうまくいかなかった」など新たなストレスが生じかねない。無理なく続けるために、手ごろな費用で実践できることも大切だ。

疲れを軽減する商品を使うのも一手。ウェブメディア評論家の落合正和さんは仕事柄、スマホやパソコンの画面を見る時間が長い。「少しでも効果があればとブルーライトを軽減するメガネを愛用している」と話す。

効果が実証されているサプリを取るのも一案だ。例えば眼精疲労回復などの効果があるとされるアスタキサンチン。この成分を配合したサプリが、9月に日本で初めて身体と精神の複合的な疲労を軽減する機能性表示食品として発売されている。

常にスマホを見てしまう背景には「大事なメールが届いているかもしれない」との不安もあるだろう。一般社団法人日本ビジネスメール協会(東京・千代田)の代表理事、平野友朗さんは「自分自身の場合、見たら返信すると決めている。こう決めると、むやみにメールをチェックしなくなる」と話す。そもそも、本当に緊急の用件はメールで連絡しないのが原則。見ない時間帯をしっかり確保することも大切だ。

(ライター ヨダエリ)

[日本経済新聞夕刊2017年10月30日付]

働き方・学び方 新着記事

ALL CHANNEL