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「無痛分娩」安全対策に動く 学会や国、実態把握へ

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NIKKEI STYLE

麻酔を使って陣痛を和らげる「無痛分娩」を巡って、妊産婦や赤ちゃんが死亡したり、後遺症を負ったりするケースが相次いで発覚している。6日には大阪の医師が書類送検された。国や学会は対応を急ぐが、背景には小規模な医療機関で多くの出産を支える日本の周産期医療に特有の事情もありそうだ。

「医師には自分がしたことの責任を取ってほしい」。京都府京田辺市の医院で2012年に出産したロシア人女性エブセエバ・エレナさん(40)の夫で大学教授の日本人男性(55)は振り絞る声で訴える。

母子とも寝たきり

エレナさんは設備や人員が整った大学病院での無痛分娩を希望していたが受け入れられず、インターネットで探した診療所で出産。ところが麻酔中に容体が急変し、総合病院に救急搬送されたものの、生まれた長女みゆきちゃん(4)とともに寝たきりの状態となった。男性はロシアから来日した女性の母親とともに妻子を介護しながら働く日々を送る。

無痛分娩を巡る事故などの報告は各地で相次ぐ。大阪府和泉市では今年1月、無痛分娩で出産中の女性(31)が死亡。神戸市内の医院でも15年9月、事故が発生し、遺族が再発防止や実態把握を求める要望書を国や関係学会に提出した。遺族の男性は「外来の片手間で無痛分娩を行うようなことは絶対にないように」などと訴える。

無痛分娩で一般的なのは、出産前に背中から針を入れ、脊髄を取り巻く硬膜の外側に麻酔薬を注入して出産の痛みが脳に伝わるのをブロックする「硬膜外鎮痛法」だ。特段の許可などは必要ない。薬剤を投与する位置や量などに注意が必要だが、局所麻酔のため「呼吸管理が必要な全身麻酔より心理的なハードルは比較的低い」(大阪府内の産婦人科医)という。

日本産婦人科医会の調査によると、全出生数(約97万人)のうち、無痛分娩は推計で6.1%(16年度)。産後の回復も早く、雑誌などで多く取り上げられるようになったことで抵抗感が薄い人が増え、14年度の4.6%、15年度の5.5%から少しずつ増加している。費用は健康保険の適用外で、普通分娩の費用に5万~20万円ほど追加されることが多いようだ。

だが、どんな医療体制で行われているのかなど実態は分かっていないことも多い。同医会の妊産婦死亡症例検討評価委員会が10年~17年2月に提出された母体死亡271例の報告書を調べたところ、無痛分娩は14例。同委員会は「データ上、死亡率が明らかに高いとはいえない」とする一方で、事故の発覚を受けて今年4月、初の「緊急提言」を出した。

提言は無痛分娩を行う医療機関の体制充実などを求める内容で、同委員会委員長の池田智明・三重大学教授は「我々の専門性が問われている。悪い部分は正していく必要がある」と厳しい表情を浮かべる。

国も実態把握に向けて動き始めた。厚生労働省は研究班を発足させ、8月に初会合を開催。研究代表者の海野信也・北里大病院長は「研究班や各学会でガイドラインを検討し、診療現場に反映させないといけない」と話し、リスク評価や安全管理体制の構築に関する提言を年内にもまとめる方針だ。

小規模機関多く

周産期医療を巡っては日本特有の事情もある。欧米では出産を大規模な拠点病院で扱うことが多い。一方、日本では産科医が1人か数人だけの医療機関も多く、持病などでリスクが高い場合などは大病院が受け入れるシステムが定着している。妊産婦の死亡率の低さは世界でトップクラスだが、過去には診療所で容体が急変した際の処置が不十分だったとされた例もある。

同医会の調査でも、無痛分娩を実施する医療機関の58%が20床未満の診療所だった。三重大学の池田教授は「妊産婦の急変に対応できるよう準備するため、無痛分娩を行う産科医には高度な教育プログラムへの参加を求めていくことになる」と指摘。産科医の不足や地域偏在を背景に周産期施設を統廃合する動きが出ており、「今後、さらなる集約化も必要となってくるだろう」と指摘している。

◇   ◇   ◇

欧米では広く普及 麻酔は専門医が処置

無痛分娩は欧米で広く普及している。日本産科麻酔学会によると、帝王切開以外で無痛分娩を選んだ妊婦の割合は米国で6割、フランスでは8割、英国やドイツは2割程度に上るとされる。

米国などでは妊婦健診や産後ケアを地域の診療所などが行い、出産時は大規模で専門医が常駐する「バースセンター」で出産するのが一般的。医療体制が充実する一方、妊産婦の自宅から車で数時間かかる場所にあることも多い。

大規模病院には麻酔科の中でも産科に特化した「産科麻酔医」がいることもあり、米国で千例以上の産科麻酔経験がある大阪大病院の大滝千代講師(麻酔科)は「海外で無痛分娩はかなり普及しており、安全に行われている」と指摘する。

無痛分娩では患者の状態をこまめに観察する必要があるほか、呼吸管理のため難易度が高い気管挿管などが求められることもある。大滝講師は「緊急時には産科医と麻酔科医、新生児科医の3人の医師がいることが望ましい」と指摘するが「どの科の医師も足りないのが実情」と明かす。

(藤井将太、山内菜穂子)

[日本経済新聞朝刊2017年10月9日付]

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