宅配ピザ、お得なサイズは? 実際に測ってみた
記者(42)の自宅のポストに入っていた宅配ピザのメニュー。若いころ月3回はお世話になった「夜勤のお供」を、久しぶりに食べたくなった。そこでふと思った。どのサイズが「お得」なのか。
昔、夜勤時には職場で独り黙々と食していたが、ピザにはワイワイと人々が取り分けるイメージがある。そこで家族を巻き込んで検証した。
9月下旬の3連休に「3日連続ピザ」の強行軍に踏み切った。大手3社のメニューから「人気ナンバー1」を選び、重さなどの条件をそろえるため、同じ日にMとLを1枚ずつ注文した。価格はMが1800~2500円に対し、Lは2800~3750円。判断基準は様々あるだろうが、小学生の子供にも分かるように、100円当たりの面積や重さで比較してみた。
メニューに直径が載っていたので、面積は学生時代に暗唱した「半径×半径×円周率」の記憶を頼りに計算。重さは記載がなく実際に量った。
100円当たりで比べると、A社とB社は面積がMは23~25平方センチメートルで、Lは31~32平方センチメートル。重さはM19~25グラムに対しL21~28グラム。それぞれLの方が10~30%増え、Lの方が割安なことが分かった。C社の場合は、LとMの面積はほぼ変わらなかったが、重さはLが15%近く増え、「具だくさん感」ではLに軍配が上がった。
大勢で注文する場合はピース数も重要になる。記者は4人家族。平等に分けるには4の倍数だとありがたい。幸い、M8ピース・L12ピースという組み合わせが大半だ。
各社のメニューではMを2~3人向け、Lを3~5人向けに設定している。記者のように4人で注文する場合、1人当たり2ピースか3ピースかが分かれ目だ。1人2ピースでは物足りなさそうなら、Lを頼んだ方が良さそうだ。
とはいえ、過ぎたるは及ばざるがごとし。さすがに検証3日目は、家族皆に苦痛感が漂った。かつて1人でLを1枚食べた記者も、2ピースで満腹感が押し寄せてきた。今の我が家なら、ピザはM1枚に抑えたうえで、サラダなどヘルシーなサイドメニューを加えるのが適量だということを痛感した。
ファストフードといえば、フライドポテトの注文でもサイズを悩んだ経験がある。そこでピザ同様に検証してみることにした。
100円当たりの重さではD社はS61グラム・L67グラム、E社はS39グラム・L44グラム。いずれも僅かながらLが割安だった。
ポテトでは、想定外の「誤差」も判明した。記者が購入し、重さを量ったポテトは、企業の公表値よりもボリュームがあったのだ。S・Lいずれも、公表値より20%以上重かった。
宅配ピザやファストフードのような全国チェーンは、製造工程のマニュアル化が徹底されているという。
例えばピザでは「具材ごとに個数、グラム、配置を決めている」(A社)、「食材の載せる順番、場所、向きまで詳細」(B社)、「グラム単位のマニュアルがある」(C社)という具合。ポテトの場合も「経験の浅い従業員は高頻度で、経験を積んだ従業員も不定期に計量で重さを確認する」(D社)という。
提供する店側としては、客ごとにボリュームが違うわけにはいかないだろう。ただ、そこは人間のやることだけに、盛りすぎ、そして盛らなさすぎという事態が起こったとしても、決しておかしくはないと思われる。
食べ盛りの子どもがいる場合などは特に、同じ価格で少しでも量が多いとうれしい。家計が助かる。一方、40代の記者は、ただでさえ体形が気になる年ごろ。ピザを3日間にわたり大量に食べたことも重なって、子どもたちのように、ボリュームの「誤差」を素直に喜べるかというと、正直、微妙だった。
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「お一人様用」が登場
日本の宅配ピザは1980年代に始まったとされる。30年以上の歴史の中で、サイズやサービスも少しずつ変化してきた。
1985年開業のドミノ・ピザでは当初に比べ、M・L共に2~3センチほど小型化。今年7月からは「おひとりサイズ」を銘打ったホットサンド型の商品を始めた。「従来は誰かと食べるニーズが中心だったが、今や必ずしもそうではなくなっている」(ドミノ・ピザジャパン)
最近は店舗にまで出向いた客向けに「1枚買うと1枚無料」などのサービスもある。配達の人件費や燃料費を削減するためとみられる。「宅配」のシステム自体にも変化の兆しがみえている。
(嘉悦健太)
[NIKKEIプラス1 2017年10月7日付]
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