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「TODOリスト」をうまく使えば、遅くまで会社に残らずにすむかもしれない

「TODOリスト」をうまく使えば、遅くまで会社に残らずにすむかもしれない

定時を過ぎて働いていて、上司から退社を促された経験はないだろうか。「働き方改革」によって、残業を規制する企業が増えてきた。効率を上げるためには、どうすればいいか。やるべきことを記入する「TODOリスト」を使った改善点を探った。

「『会社の方針だから』『上司の指示だから』ではなく、自分の成長のために残業しないという働き方をしてみては」。こう勧めるのは、経営コンサルタントの中島孝志さんだ。「毎晩遅くまで仕事に追われていると、人脈を培い、知識を深める時間が持てない。健康も維持できなくなる。明確な目標を持ち、自分に投資する時間を持つべきだ」という。

そこで注目したいのがTODOリスト。ワーク・ライフバランス(東京・港)のコンサルタント、村上健太さんは、朝、その日のリストと時間割をつくり、夜、実際にどう1日を過ごしたか、所要時間も含めて記録する。これで残業の原因があぶり出せると話す。

効率の悪い働き方にありがちなパターンはいくつかある。1つめは各職務に時間がかかりすぎているパターンだ。「完璧主義の人が陥りがち。時間効率を考えて作業をすべきだ。仕事のやり方に問題がありそうならスキルアップを図ろう」(中島さん)

先輩のまねをする

スキルアップのコツは"まね"だ。企業研修を手がける、らしさラボ(東京・品川)の代表取締役で「絶対に残業しない人の時短(しごと)のワザ」などの著書がある伊庭正康さんは、「ゼロから作業をすると時間がかかってしまう。上手に書かれた先輩の企画書やメールなどを保存しておき、骨子をフォーマットにすると、仕事が早くすむうえ仕上がりもよい」と話す。

2つめは余裕のない予定を組んだ結果、急な依頼やトラブルの対応で仕事が先送りになってしまうパターン。中島さんはできれば1時間単位の予定で職務の計画を組めば、ゆとりをもって行動できると助言する。作業が終われば余った時間を情報収集や考えごとに充てられる。難しければ、朝の1時間を、予備時間として空けておくだけでもいい。

3つめは仕事を安請け合いし、職務の量が増えてしまうパターン。らしさラボの伊庭さんは「すぐやります」は禁句にすべきだ、と指摘する。

依頼されたら、「承知しました。お急ぎですよね」と前向きな姿勢を示しつつも、「◎日までということでいかがでしょう」などと締め切りの交渉をする。普段から上司とコミュニケーションを密にし信頼関係ができていれば、ストレートに「この期間に仕事が集中しています」と打ち明け、相談することもできる。

上司は経験を重ねていて差配もできるので、「他のメンバーに頼む」「外注する」など、なんらかの解決策を提示してくれる場合もある。「日ごろからしっかりホウレンソウ(報告・連絡・相談)をすることで残業も減る」(伊庭さん)

音声アシスト活用

リストをよく見て、職務のムダがあればそぎ落としていこう。意外に手間取る職務の代表格といえばメールの返信作業だが、「簡単な返信であれば移動時間にスマートフォン(スマホ)などの音声アシストを使うなどすれば、効率よく処理できる」(伊庭さん)。

メールソフトを立ち上げ、返信画面を開いたら、マイクのマークを押してスマホに話しかける。「改行」「点」「丸」と声で指示すれば、行間を空けたり、句読点を打ったりすることもでき、自然な文章が仕上がる。スマホの設定機能に入っている単語登録、ユーザー辞書などを使い、定型文をあらかじめ登録しておくのも一手。数文字打つだけで、自動的にテキストを作成できるので便利だ。

資料作成を依頼されたら、仕上がりイメージについてもその場で確認すると二度手間が省ける。「依頼側に具体的なイメージがない場合は、ラフを描いて『こんな感じですか』と提案するといい」(村上さん)

上司との打ち合わせの頻度もチェックする。「回数が多い、長時間に及んでいるという傾向があれば、便利使いをされている可能性もある」(中島さん)。下働きに相当するものであれば、「『資料の締め切りがあるので10分ほどでしたら大丈夫です』と、打ち合わせの時間を区切ってみては」と中島さんは提案する。

職務にかかる時間を適切に見積もり、うまくTODOリストをつくるにはある程度、トレーニングが必要だ。予想より長引いた職務があれば、次回から余裕を持って時間を見積もるなど改善を重ねていこう。

中島さんは「残業を減らす努力をすると、目の前の作業をこなすことでせいいっぱいだった人も、考えて行動するようになり、先々の予定や全体を見渡せるようになる」と語る。結果的に仕事の質も上がりそうだ。

(ライター 西川敦子)

[日本経済新聞夕刊2017年10月2日付]

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