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『マハーバーラタ』を歌舞伎に 菊之助と宮城聡が挑戦

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NIKKEI STYLE

古代インドの叙事詩「マハーバーラタ」から歌舞伎をつくる。歌舞伎俳優の尾上菊之助と現代演劇の演出家、宮城聡が破天荒な挑戦に乗り出した。さて、成果やいかに。

10月の歌舞伎座昼の部で上演されるのは、その名も「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」。世界3大叙事詩のひとつをこれも現代演劇の劇作家、青木豪が脚本化した新作歌舞伎だ。

現代演劇と合作

初日(1日)の2週間あまり前、歌舞伎座タワーの稽古場を訪ねると、宮城聡が芸術総監督を務める静岡県舞台芸術センター(SPAC)の楽団が稽古していた。打楽器中心のエスニックな響きは歌舞伎にとっていかにも異風。邦楽の鶴澤慎治(作曲)、田中傳左衛門(作調)の音楽といかに掛け合わせるか。SPACの音楽をてがけてきた棚川寛子は「これからが大変」と気を引き締めていた。

企画のきっかけとなったのは、SPACが世界的な演劇祭アヴィニョン・フェスティバルで3年前に上演した「マハーバーラタ ナラ王の冒険」だ。その凱旋公演を横浜で見た菊之助は「より大きな話にして歌舞伎にしたい」とSPACに協力を依頼し、宮城も歌舞伎初演出を決めた。「菊之助さんはSPACの音楽を気に入ってくれた。置き場所や演奏者の移動が悩ましいが……」と宮城は稽古場で思案投げ首だった。

マハーバーラタは要約不能といえる長大な物語だ。世界の始まりに端を発し、バラタ族の激烈な争いを軸に物語が進むが、深遠なインド哲学が随所に立ち現れる。「人類の英知が詰まっている」とたたえた巨匠ピーター・ブルックが、人類にとっての戦争を考える壮大な演劇化を試みたことはよく知られている。

もし奈良時代にこの物語が伝来したら、日本人はどう描いたか――。そんな仮定から劇化を構想した今回は、争いをとめようとする迦楼奈(かるな)(カルナ)に光をあてた。対立するどちら側にも属さない役どころ。演じる菊之助は「争いのはかなさを描いた熊谷陣屋との共通性を感じる。とても現代性がある」と話す。

見どころとなりそうなのは、ヒンズー教聖典として名高い「バガヴァッド・ギーター」の一部を義太夫で語る場面だろう。争いの一方の王子阿龍樹雷(あるじゅら)(アルジュナ)がひるむのに対し、師の久理修那(くりしゅな)(クリシュナ)が真理を説く。久理修那を演じる菊之助の父、菊五郎は「役名を覚えるだけで大変です。でも新しいことに挑戦するのが菊五郎劇団。ワクワクしながらやりたい」と意欲をみせる。

台本づくりには苦労がつきなかったようだ。市井に生きる人たちの喜怒哀楽を描いてきた青木は「もっと物語を大きくと言われ続けた」。書いては宮城、菊之助との会議にはかり、その都度書き直したという。迦楼奈を菊之助が演じるイメージから、尾上松也の阿龍樹雷と対決していく物語がようやくできたという。

SPACは今夏、欧州以外の劇団として初めてアヴィニョン・フェスティバルのオープニングに招かれ、国際的評価を高めた。その創作力を大胆に取りこむ陣容がしかれた。音楽に加え、建築家の木津潤平(空間構成)、深沢襟(美術)もSPAC側から参加、現代演劇の舞台で定評ある沢田祐二が照明を手がける。巨大な屏風で場を転換する手法が考えられている。

義太夫の語り芸などから影響を受けた宮城は、歌舞伎への思いをこう語る。

「現代演劇を日本で演出していて、外国にない恵まれた点がある。伝統演劇が何百年も知恵を蓄積し昔の演技を残してくれたこと。大いに助けられています。100年後に古典になるような作品をつくりたい」

伝統舞踊と交流

振付をになう菊之助は8月にインドへ旅し、歌舞伎との類似性が指摘される伝統舞踊カタカリと交流した。「インドで神と人間との距離の近さを感じた。カタカリに表れる神の手の動き、目の動きを取り入れられないかと考えています」

「NINAGAWA十二夜」(シェークスピア作)で、蜷川幸雄の歌舞伎演出を実現させてから12年。古典歌舞伎を支える一方で、新しい観客を呼びこむ現代の歌舞伎を創造したい。それが菊之助、40歳の思いだ。菊之助の現代歌舞伎、第2章である。

(編集委員 内田洋一)

[日本経済新聞夕刊2017年9月25日付]

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