変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

衣料品大手のTSIホールディングスはグループに多くのブランドを持つ。遠江咲子さん(29)は価格が高めの婦人服「アドーア」の稼ぎ頭、六本木ヒルズ店(東京・港)の店長を務める。最初に配属された店の販売首位に上り詰め、2016年に今の立場になった。聞いてこそ分かることがあると、遠慮せずに声をかける。来店客が驚きを感じるように自分の好みの服を薦める。

ブラウスを手にじっと立っている女性客がいる。遠江さんが「何かの際に着るんですか?」と話しかける。ところが女性が探していたのはパンツ。「ブラウスもかわいくて見てたんです」

そこで女性が求めていた細身のシルエットのパンツの入荷時期を伝え、名刺を渡した。女性は「来週以降来ます」と言って帰って行った。遠江さんは「実際に戻ってきてくれる人も多いですよ」と言う。

□  ■  □

振り出しの頃は、客にあれこれ質問するのは買い物の邪魔になると思って遠慮していた。だが、尋ねないと分からないことは多い。値段のせいで迷っているのかと思っていると「1枚買うか2枚買うかを迷ってるだけ」などと意外な答えが返ってくる。「自分の物差しでしかお客様を見ていなかった」と振り返る。

入社3年目に表参道ヒルズ店(東京・渋谷)の副店長になったときが原点だ。アルバイトの先輩販売員の売り上げに追いつけなかった。誰よりも売らなければならないのに、余裕のなさが客に伝わり、うまくいかない。悩んだ末に「目の前の客と向き合おう」と吹っ切れた。

客に積極的に声をかけることが自分のスタイルになった。客が迷う理由が価格だったら、安い方の良いところを伝える。似た服を持っていたら「いったん家に帰って見比べてください」と帰す。「気持ち良く終わればまた来てくれる」という。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック