EV時代、本当に来る? 走行距離や電池量産が課題
日産自動車は電気自動車(EV)の「リーフ」をフルモデルチェンジした
最近、電気自動車のことがよくニュースなどで話題になっているわね。いままでの車はすべて電気自動車に取って代わられるのかな。普及に向けた課題はないの。
電気自動車(EV)の動向について、冨山稔子さん(44)と和田真紀子さん(43)が西條都夫編集委員に話を聞いた。
――欧州などでEVシフトの動きが急ですね。
「2017年7月にフランスと英国が相次いで、40年までにガソリン車やディーゼル車の新車販売を禁止することを表明しました。米国でもカリフォルニア州をはじめとする有力な州で、EVの普及を重視した規制を打ち出しています」
「新興国では中国が18年からメーカーに一定割合のエコカーの生産を義務付けます。インドでもEVを優遇する税制を7月に導入しました」
「背景にあるのは大気汚染の深刻化です。汚染源の一つが車の排ガスであり、大気浄化の即効薬として排ガスゼロのEVへの期待が大きいのです。中国やインドの都市部の大気の状態が悪いのは有名ですが、新興国だけの問題ではありません。パリでは16年12月、上空に高気圧が居座って汚染物質が滞留し、健康被害が懸念される事態となり、市内への車の乗り入れを規制しました。また、15年に発覚した独フォルクスワーゲンによるディーゼル車の排ガス不正問題の影響で、各地で脱エンジンの機運が高まっている面もあります」
――現時点のEVの実力はどうですか。
「調査会社の富士経済によると16年の世界の新車販売は約9400万台ですが、そのうちEVは50万台弱とみられ、全体の0.5%程度にとどまるニッチな存在です」