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日本に多い脂肪少なめ乳房 乳がん検診見逃しリスク大 「マンモだけ」は不十分、エコー併用で発見増

NIKKEIプラス1

2017/9/9付 NIKKEIプラス1

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年々増える乳がん。日本女性の11人に1人が生涯に発症する身近ながんだ。乳房のタイプによって、乳がん検診で発見されにくい場合がある。自分にあった検査法を知っておこう。

乳がん検診で多いのはマンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)だ。ごく早期の乳がんやしこりになる前の石灰化の状態を発見できるが、「高濃度乳房」と呼ばれるタイプの人は、この検査でがんを見つけにくい。

乳房は母乳を作る乳腺と脂肪などで構成される。マンモグラフィーの画像には、X線が透過しづらい乳腺が白く、透過しやすい脂肪は黒く写る。がんも白く写るため、乳腺が多い乳房だとがんを見つけるのが難しくなる。「雪原で白うさぎを探すようなもの」と例えられるほどだ。

乳房は乳腺濃度に応じて4タイプに分かれる。乳腺が多く脂肪がほとんどない「極めて高濃度」、乳腺の中に脂肪が混在する「不均一高濃度」、脂肪の中に乳腺がまばらに存在する「乳腺散在」、そして脂肪がほとんどを占める「脂肪性」だ。このうち極めて高濃度と不均一高濃度の2タイプが高濃度乳房だ。

聖マリアンナ医科大学付属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター付属クリニック(川崎市)の福田護院長は「高濃度乳房は病気ではなく体質。海外では乳がんになるリスクがやや高いとの報告があるが、日本での研究はまだない。欧米人に比べて脂肪が少ない日本人女性は、高濃度乳房の人が多い」と話す。

その割合は4~8割と報告により幅がある。「高濃度乳房かどうかは画像を見て医師が判定するため、結果にばらつきが出やすい」と昭和大学病院乳腺外科(東京・品川)の沢田晃暢准教授は指摘する。

最近は乳腺濃度を自動測定するソフトを導入する医療機関もある。沢田准教授らがこの方法で543人の検診受診者を調べたところ、78パーセントが高濃度乳房だった。

一般的に乳腺は閉経後に脂肪に置き換わっていくが、60代、70代でも高濃度乳房の人が7割近くいたという。「導入から間もないので症例数は十分でないが、従来考えられていたよりずっと多いことがわかった」(沢田准教授)

高濃度乳房だと、マンモグラフィーの結果が「異常なし」でもがんを見逃している可能性がある。そこで専門家が薦めるのが超音波(エコー)検査の併用だ。

全国約7万6千人を対象に実施した大規模調査によると、マンモグラフィーとエコーを併用すると、マンモグラフィー単独のときよりも乳がんが見付かりやすいという結果が出た。「検査者の技量に左右される面はあるが、エコーだと4~5ミリ程度の小さながんも発見できる」(福田院長)

40歳以上の人は国の乳がん検診で2年に1回、マンモグラフィーを無料か少額の自己負担で受けられる。NPO法人乳がん画像診断ネットワークの理事長で、相良病院付属ブレストセンター(鹿児島市)放射線科の戸崎光宏部長は「エコー検査は自己負担になるが、高濃度乳房の人はぜひ併用を」と話す。医療機関によるが、検査代は5千~1万円程度が目安だ。

自分が高濃度乳房かどうかかを知ることはできるのか。「検診結果は受診者のもの。自分の乳房タイプを知ることが重要」と戸崎部長。厚生労働省は自治体が乳がん検診の受診者に通知する体制の整備を始めた。既に通知しているか、通知を予定する自治体は2016年度時点で2割程度だった。通知がない場合は「検診を受けた医療機関に問い合わせるとよい」と福田院長は助言する。

(ライター 佐田節子)

[NIKKEIプラス1 2017年9月9日付]

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