コーヒーと消費者つなぐ 担当の枠超え売り場改革
UCC上島珈琲 草柳弘さん
UCC上島珈琲の関東支社営業部埼玉支店(さいたま市)に所属する草柳弘さん(31)は関東地区の家庭用商品営業でトップクラスの評価を得ている。顧客であるスーパーや量販店の売り場に立って「どうしたらお客さんに来てもらえるか」をシンプルに考え続け、担当以外の分野でも解決策を提案する。取引先の研修を企画し、業務用の販売促進にも走った。
2016年3月、UCCのレギュラーコーヒーを製造する富士工場(静岡県富士市)に取引先のスーパーの従業員を案内する草柳さんの姿があった。コーヒー商品の知識を伝える研修だ。草柳さんが発案した。
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パートタイマーやアルバイトを含む計40人ほどが集まった。工場見学と2回のテストを合わせた3日間のプログラム。交通費以外の費用はUCCが負担した。
取引先のスーパーで開いた1回目のテストではコーヒーの保存法やレギュラーコーヒーとインスタントの違いなどを聞いた。店頭で消費者に質問されそうな基礎知識だ。UCCが運営するコーヒー専門の教育機関「UCCコーヒーアカデミー」の社員らとともに草柳さんが監修した。
1回目に合格するとUCCのアカデミーで2回目を受ける。コーヒーの抽出技術などの専門知識を問う。合格者の認定証も作った。
草柳さんは取引先の売り場でふと思った。「お客さんにおいしい飲み方を伝えたり、求められているコーヒーを提供したりするにはどうしたらいいか」。コーヒーに詳しいUCCの人間が店頭に立てば手っ取り早いが、限度がある。
「消費者とコーヒーをつなぐのはスーパーのスタッフ」であることに改めて思いを巡らせ、研修を社内外に提案した。
成果は売り場に現れた。研修を受けた従業員たちがコーヒーに合う食品をそろえ始めた。今年3月には「イタリアンフェア」と題してパスタと一緒に販売する売り場などを設けた。売り場づくりで意見を伝えてもなかなか取り入れられなかった取り組みだ。