夏の肌トラブル 意外に多い「光線過敏症」って?日焼け止め・薬で抑える/発汗時 こすらない

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夏は日差しの下で汗を拭う機会が多い季節だ。太陽の光や発汗は、光線過敏症や肌荒れなど様々な肌トラブルを引き起こす。対処法や予防法を専門家に聞いた。

夏の肌トラブルは日焼けに限らない。意外と多いのが日光に当たって起きるアレルギー疾患で、光線過敏症と呼ばれる。いくつかの種類があるが、代表的なのが「多形日光疹」、「日光じんましん」、「薬剤性光線過敏症」だ。

紫外線を浴びた皮膚に、半日ほどたってから赤くて小さい粒状の湿疹とかゆみが出るのが多形日光疹だ。10~40代の女性に多い。

原因は紫外線だ。「紫外線の刺激で皮膚中の成分が変化し、遅延型アレルギーを起こす」とひふのクリニック人形町(東京・中央)の上出良一院長は説明する。

多形日光疹は日焼け止めで予防できる。発症しても「多くは1週間以内に自然に治っていくが、数日たっても治まらない場合はステロイド薬を処方してもらうとよい」と上出院長。

日光を浴びるとできる成分への即時型アレルギーが日光じんましんだ。肌が赤いミミズ腫れのようになる。主な原因は可視光線だ。日光を避けると症状は治まる。

ただ「紫外線が原因ではないため、日焼け止めでは予防できない」(上出院長)。対策は「抗ヒスタミン薬でアレルギー反応を抑えること」だ。

飲み薬や貼り薬が原因で起きるのが薬剤性光線過敏症だ。薬を使い始めた後に日光に当たり、顔や首周りなどに日焼けに似た症状が強く出たら要注意だ。

「抗炎症成分のケトプロフェンを含む湿布薬の場合、貼った所が赤く腫れ、水ぶくれなど強い症状が出ることもある」と上出院長。「他人から譲られた湿布を使わないことが大切」と注意を促す。

一部の血圧を下げる薬でも起きやすいという。医療機関で原因になっている薬剤を診断してもらい、服用や湿布の使用をやめる。薬剤は体内にしばらく残るので、1~3カ月は直射日光を避ける。

正確に光線過敏症の診断を受けるには、いつから症状が始まったか、どんなときに症状が出るか、症状が起きる場所や服用薬などを医師に伝えられるようメモしておこう。

体温調節のため汗をかくことは重要だが、汗が夏の肌トラブルの原因になることもある。「タオルなどで頻繁に汗を拭いていると、ふやけた肌を傷つけるうえ、刺激になる汗の成分を肌にすり込むことになり、汗による肌荒れが起こる」(上出院長)

予防には日常のスキンケアと、汗をかいたときの対処が大切だ。若松町こころとひふのクリニック(東京・新宿)の檜垣祐子院長は「肌のバリア機能を保つため、洗顔のし過ぎは厳禁。朝は水で軽く洗うだけにとどめたい」と話す。

発汗後の日中の洗顔は洗浄剤を使わず水で流すか、蒸留水をスプレーしてタオルなどで軽く押さえて水分を拭き取るようにしよう。決して肌をこすらないようにしたい。

エアコンの冷風にさらされるため肌の乾燥が気になる半面、保湿のし過ぎも肌トラブルの元になる。「油分が多すぎると皮膚の常在菌のバランスが崩れる。乾燥が肌を傷めるからといってケアしすぎず、乳液など軽めの保湿と日焼け止めの使用にとどめたい」(檜垣院長)

薄着の季節は、ネックレスなどのアクセサリーを肌の上に直接着ける機会も多い。檜垣院長は「汗で金属がイオン化しアレルゲンになりやすい夏は、金属アレルギーも増える。ニッケルなどの金属を使ったアクセサリーを避け、ベルトの金具が直接肌に触れないようにしたい」と勧める。

(ライター 武田京子)

[NIKKEIプラス1 2017年8月19日付]

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