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職場の知恵

上司への相談、スムーズにするコツ メール活用も

2017/8/18 日本経済新聞 夕刊

 仕事を円滑にこなす上で、上司への相談をうまく進めることが欠かせない。ただ、忙しそうな上司に対し「いつ、どんなふうに声をかけたらいいのか」と戸惑う事もある。上司にスムーズに相談するコツを探った。

 「今ちょっと、お時間よろしいでしょうか」。大学卒業後に地方公務員になって2年目のAさんが上司に声をかけた時のこと。抱えている案件で相談したいことがあったからだ。返ってきたのは、「今は忙しいので、また後で」の一言。「また後でというのは、いつだったらいいのか……」とAさんは悩んでしまった。

 新人時代を過ぎれば上司から返ってくる言葉も簡潔になりがち。時に解釈に迷うこともある。そうした場合には「方法の一つとして、まずはメールを送るのが有効です」。こうアドバイスするのは、上司との接し方などの研修を行っている島根人材育成(島根県出雲市)の江角尚子代表だ。

■伝える順番を整理

 上司が多忙で余裕がなさそうなら、「いつならいいですか」と聞いても、その場ですぐに判断できるとは限らない。そこで、上司が落ち着いた後に余裕を持って答えることができるように、メールであらかじめ、相談したい内容を簡単にまとめて送り、上司の手が空く時間を聞いておくといいという。

 実際に相談する際は、伝える内容と順番を事前に自分でしっかりまとめておくことが基本。相談なのか、報告なのか、連絡なのかが判然としないような話し方をしてしまっては、聞かれた側も対処しにくい。

 若い世代を中心に、上司に相談しやすい環境を自分でどのようにつくり出せばいいのか戸惑う例も目立つという。江角代表は、まずは上司の家族構成や持ち物、読んでいる本などに興味を持ち、それを糸口に話しかけてみることを提案する。

 業務中にプライベートな会話をすることは、仕事には関係がないと感じて抵抗があるかもしれない。ただ、江角さんは、業務に特化したコミュニケーションばかりだと、気軽に相談に乗ってもらう関係をつくるハードルがかえって高くなるという。「自分が相談したい時だけ相談に乗ってもらおうとしても、普段しっかりコミュニケーションを取っていないと難しい。普段から、上司と話しやすい関係をつくっておくことが大切です」(江角代表)

■イベントで親近感

 そのためには自分が話しかけるだけではなく、聞く姿勢も重要。仮に上司が一見仕事と関係なさそうなことを話しかけてきたり説教のように感じたりすることがあっても、きちんと耳を傾ける。そうすることで信頼関係ができ、上司も相談を受けた際に「ちょっと聞こうか」という気持ちになりやすい。結果的に、自分が相談する時に話しやすい環境づくりにつながる。

円滑に相談ができれば仕事もはかどる(松江市の大昌)

 段ボール製品や化粧箱を製造する大昌(松江市)では、社員が相談しやすい環境づくりを積極的に進めている。その一環で、社員全員で忘年会と花見を毎年欠かさず行っている。社員同士が普段の職場では見ることができない互いの一面を見ることになり、親近感を持ったり会話の糸口が生まれたりするという。

 とはいえ、そうした機会を設けても、上司になかなか相談しにくいケースもあるかもしれない。大昌の下手将人社長は、「そういう場合は無理せず、話をしやすい先輩を見つけては」と提案する。相談内容によって、まずはどの上司に相談するか、どんな伝え方がいいのかなどを、先輩が経験を通じて教えてくれることも多い。抱え込んでいては見いだせない打開策も見つけやすい。

 上司や会社の視点に立つと、相談すべきことをためらって勝手に解釈してミスが生まれる方がマイナスとなる。むしろ指示が的確に伝わっているかの確認にもなるため、上司は相談を基本的に歓迎していると考えるとよいだろう。

 だからこそ気を付けたいのは、相談の際に、不満を前面に出すのではなく「もっとこうしたらいいのではないか」という提案の形にして伝えること。前向きに変換して話すことで、相談する側も気持ちが楽になり、受ける側も気持ちよく聞け、相談内容を深掘りできる。

 仕事の相談といっても人間同士の信頼関係が基盤。そのためにも普段から円滑なコミュニケーションが取れるように、自分から工夫することが欠かせない。

(ライター 田中 輝美)

[日本経済新聞夕刊2017年8月14日付]

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