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骨髄バンク、厳しい運営 移植件数減少で4年連続赤字

待ち時間短縮を軸に改革探る

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NIKKEI STYLE

白血病などで骨髄移植が必要な患者とドナー(提供希望者)を仲介する日本骨髄バンク(東京・千代田)の資金繰りが悪化している。移植まで時間がかかり、待ち切れない患者が別の治療法に望みを託すなど移植件数が減っているためだ。待機期間を短縮するため仲介業務を見直しているが、抜本的な改革を見いだせていない。

「ニュースレターも削減せざるを得なくなった」。同バンク総務部の五月女忠雄部長は肩を落とす。年に2回、ドナー登録者らに郵送してきたが、一部を電子媒体化し、郵送を年1回に減らして年間約2千万円のコストを圧縮した。

ニュースレターには「もう一度生きるチャンスをもらえた」(患者)、「患者さんの力になれてうれしい」(ドナー経験者)など当事者らの声がつづられる。「登録したドナーに骨髄提供の気持ちを持ち続けてもらうために必要」という橋本明子理事は「郵送回数の削減には最後まで反対した」と悔しさをにじませる。

公益財団法人の同バンクの収入は2017年度の約14億8千万円のうち、国からの補助金(約4億5千万円)と、骨髄移植を実施した医療機関が患者1人当たり45万円を診療報酬の一部から支払う「医療保険財源」(約5億5千万円)で7割を占める。

残りは仲介料や検査料などとして患者が同バンクに支払う負担金(1人20万円程度)と、有志からの寄付金だが、今年度はすでに4500万円不足しており、赤字は4年連続になる見込みだ。

財政難の背景には、ここ数年の移植件数の減少がある。13年度には過去最多の1343件を記録したが、昨年度は93件(7%)減の1250件で、単純計算で6千万円近い減収となっている。

移植件数の減少は、出産時のへその緒などから採取した細胞を利用する「臍(さい)帯血移植」を選ぶ患者が増えているからだ。

骨髄移植では健康なドナーから血液を作り出す造血幹細胞を含む骨髄液を採取するが、検査やドナーの意思確認などに時間がかかり、患者が登録してから移植までにかかる期間は中央値で約5カ月(約150日)。一方、臍帯血は型が合えば数週間の検査を経て移植可能で、病状の悪化などで待ち切れずに臍帯血を利用する患者が増えている。

だが年間100件以上の移植を手掛ける国立がん研究センター中央病院(東京・中央)の福田隆浩医師(造血幹細胞移植科)によると、移植を受けた患者の生存率は骨髄を利用した方が臍帯血より1割ほど高いという。福田医師は「移植までの待ち時間が短縮すれば、患者の状況に応じて最適な治療法が選択しやすくなる」と話す。

同バンクは移植が必要な患者の選択肢を増やすため、移植までの期間を欧米並みの100日まで短縮しようと動き出している。

その一つとして、国と協議し、移植を希望する患者と白血球の型が合うドナーに一度に連絡する際、5人から10人に試験的に増やした。実際に提供に同意するドナーを確定するまでコーディネーターは10人程度に連絡しており、迅速に骨髄の提供者を決める狙いだ。

ただボランティアで骨髄移植の普及に協力しているNPO法人「全国骨髄バンク推進連絡協議会」(東京・千代田)の田中重勝理事長は「10年以上、期間の短縮は実現していない」と取り組みの遅さにいらだちを隠さない。

バンクは職員の賞与カットなどコスト削減も進める一方、患者負担金の値上げを厚生労働省に何度も要求しており、田中理事長は「負担増を患者に求めるのは筋違いだ」と憤り、抜本的な改革を求める。

厚労省は今年度、同バンクへの補助金を6千万円増額している。患者の負担金の増額については「患者へのしわ寄せは避けたい」(同省の移植医療対策推進室)として認めない考えだ。

「赤字分は余剰金の取り崩しで対応しているが、今の状況では数年しかもたない」。同バンクの斎藤英彦理事長は危機感を募らせる。国内では1993年に初めて実施された骨髄移植。社会の理解が広がり、ドナー登録は50万人近くまで増え、白血病などの患者の命をつないできたが、大きな曲がり角を迎えている。

 ▼日本骨髄バンク 白血病などの患者と、ドナー希望者がそれぞれ白血球の型などを登録し、患者とドナーとの骨髄移植を仲介する機関。親族間などの例を除き、多くの患者が利用する。1991年12月に財団法人「骨髄移植推進財団」として発足し、現在は公益財団法人。2014年施行の造血幹細胞移植推進法で「あっせん事業者」として位置づけられた。全国に事務局があり、6月末時点の職員数は約90人。

◇   ◇   ◇   

骨髄移植を件数で上回る 臍帯血バンクも資金難

臍帯血移植の件数は2015年度、初めて骨髄バンクを通じた移植数を上回った。16年度は1347件に上り利用者は年々増加傾向だが、臍帯血バンクの運営状況も厳しいとされるなど課題も多い。

臍帯血移植では出産時のへその緒などから採取した細胞を凍結保存し、患者が必要な場合に解凍して使用する。移植までの期間が短いのがメリットで、緊急時には数日以内に移植できることもある。

一方で必要な細胞数を確保するのが難しく、体の大きさなどがネックになって適用できない患者も多い。近年は条件次第では骨髄移植と成績の優位な差はみられない、との研究結果も出てきたものの、細胞が未熟なためトラブルが多いとされてきた。

公的バンクは全国に6カ所あるが、資金難などでピークの11カ所から大幅に減少。ストックしている臍帯血の数も、保存期間の基準の見直しなどで近年は1万本程度となっている。

現在、建物の建て替えで移転を余儀なくされているという認定NPO法人「兵庫さい帯血バンク」(兵庫県西宮市)の甲斐俊朗副理事長は「スタッフはほぼボランティアで何とか成り立ってきた。臍帯血の保存には冷蔵施設が必要で、移転話で存続の危機に陥っている」と明かす。

(加藤彰介、藤井将太)

[日本経済新聞朝刊2017年8月14日付]

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