「『女性の活躍推進』の面からも多様な働き方が求められています。2017年版の男女共同参画白書をみると、日本は就業者全体の中で女性が占める割合は43.5%と、ほかの先進国に大きく後れを取っているわけではありません。しかし管理職に占める女性の割合は13%にすぎず、先進国の中でかなり低いのです。女性が継続的に働け、キャリアを積める環境を整えるには、働き方の多様な選択肢を用意することが欠かせません。高齢者が働きやすくするためにも必要です」

――多様な働き方は定着しそうですか。

「働く側のニーズが多様化する中では、柔軟な働き方ができる制度を用意しておかないと、有望な人材を確保できないでしょう。ただ定着させるには、人事評価の見直しも重要になりそうです。『残業しなかったから評価が低いのかもしれない』などと思う人が多いようでは、短時間勤務や休日を多めに取れる制度は浸透しません。透明性の高い客観的な評価システムを導入することが大事です」

――雇用される側にとって利点ばかりなのですか。

「自分に合った働き方を選べる代わりに、仕事でどんな結果を出したかが、いっそう問われることになるでしょう。海外と同じように、実績次第で降格や処遇の切り下げという事態も増えてくるのではないでしょうか」

「重要なのは生産性を高めるという視点です。労働時間を抑えるには効率的に働く必要があります。そうしないと早く退社できたとしても、やり残した仕事を自宅でサービス残業してこなさなければなりません。これまでの仕事のやり方を根本的に見直せるかがポイントです」

ちょっとウンチク

背景に学び直しニーズ増加

週休3日や短時間正社員の制度が広がる理由は社会人の学び直しへのニーズが高まることもある。人口減少で1人あたりが生む付加価値を増やす必要があり、働き手は自らの能力開発を求められる。再教育の場として期待されるのが大学だが、大学生総数に占める25歳以上の比率(2012年)は1.9%と経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で極端に低い。柔軟な働き方がその引き上げを後押しする。

賃金の高い仕事に移るためにも学び直しが要る。リクルートワークス研究所の16年の全国就業実態パネル調査では、「その他の産業」から「高付加価値産業」へ移った労働力は8.3%と少ない。仕事に追われるだけでなく自己研さんに励める働き方が大事になる。

(編集委員 水野裕司)

■今回のニッキィ
馬屋原 茉那さん IT関連会社勤務。最近、宝塚歌劇団を初めて見た。「物語の世界に入りやすい上、男役の方の美しさに心奪われました。これからも劇場通いを続けたいと思います」
神野 王香さん 不動産関連会社勤務。妊娠後、マタニティースイミングを始める。「体調管理や出産・育児の情報交換の場になっています。今から赤ちゃんに会えるのが楽しみです」

[日本経済新聞夕刊2017年8月7日付]

ニッキィの大疑問」は月曜更新です。次回は8月21日の予定です。

次世代リーダーに必要な3つの要素を身につける講座/日経ビジネススクール

若手・中堅社員向け!ビジネスの現場ですぐに役立つ実践講座

>> 講座一覧はこちら

ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら