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職場の知恵

職場でできる夏バテ対策 仮眠・甘酒・ストレッチ

2017/8/7付 日本経済新聞 夕刊

 猛暑が続くこの季節、仕事で外回りする人も、冷房がきいたオフィス内で働く人も、体がだるくなったり食欲が落ちたりすることが少なくない。こまめな水分補強や効果的な休憩など、業務の合間にできる夏バテ対策を探った。

 リフォームを手がけるOKUTA(さいたま市)は社員の健康維持のため、午後の勤務時間帯に15~20分程度の仮眠を推奨している。体調維持のほか、眠気をとって生産性を高める狙いもある。

 1年前に同社に転職した広報課の板倉南さんは、「以前は夏場にも体調を崩しやすかったが、今の職場では風邪をひいたりすることがなくなった」と話す。体調に合わせ会社で仮眠できると思うと「安心できる」といい、ストレスも軽減されるという。

 産業医の荒木葉子さんによると、「夏は日照時間が長くなるため、体内時計に変化をきたして睡眠時間が短くなる」という。暑い場所と冷房のきいたところを行き来することも増え、「温度調節のためにエネルギーを消費するので、仮眠を取ることで健康維持・生産性向上に役立つ」と話す。

体力温存のため、ウェブ会議などを活用して、炎天下の移動を減らす

 仮眠を推奨する制度が無い企業であっても、仮眠室や休憩室を設けているところはある。疲れを感じたり業務効率が落ちたと感じたりしたら、思い切って短時間の仮眠を挟むことも時には有効だ。

 さらにOKUTAでは、夏バテ対策として、会議や打ち合わせの一部をウェブ上で行っている。「炎天下を移動せずに済むから体力消耗も防げる。取引先からも好評」(山本拓己社長)という。

 室内業務が中心だと、冷房による冷えで体調を崩したり、いつも以上に疲れを感じたりする人もいる。荒木さんは「首、手首、足首の“3首”を冷やさないように気を付けて」と指摘する。「この3つの『首』の皮下には太い血管があり、ここを冷やすと血液の循環が悪くなる」(荒木さん)からだ。冷え性に悩む人でなくても、女性であれば大判ストールなどを常備しておき、首に巻いたり肩からかけたりして夏バテの予防策として使いたい。

 冷え対策として筋肉を動かすことも有効だ。座って仕事をする時間が長い人は、トイレに行ったついでにストレッチをするなど、意識して体を動かそう。会社帰りに一駅分歩くなど、無理のない範囲で普段より歩く距離を延ばして体を動かすことも夏バテ防止につながる。

 涼しい屋内と気温の高い外を行き来する際、その温度差が大きいとエネルギーが消費され疲れやすくなる。荒木さんは「42度くらいの熱めのシャワーを浴びて出勤するといい」と助言する。「傷んだ細胞を修復しストレス耐性を高めるヒートショックプロテイン(HSP)というたんぱく質が増え、温度の落差にも強くなる」(荒木さん)

 夏バテ対策として、業務中でもしっかり水分補給することも欠かせない。屋内にいても、脱水症状になれば熱中症につながる。管理栄養士の浅野まみこさんは「夏は1日1.5~2.5リットルの水分摂取が必要。冷房のきいたオフィスでデスクワークに従事する人も同様なので、トイレから戻ったらお茶を1杯飲むなどルールを決めて意識して水分をとるといい」と話す。

 ただ、冷たい飲料をとり過ぎれば体の冷えにつながりかねない。浅野さんが薦めるのは「飲む点滴」とも言われる麹(こうじ)で作った甘酒だ。ビタミンB群が多く含まれるため代謝がよくなり、疲労を防ぐことができる。発酵食品なので腸内環境を整え、常温でも飲みやすいので、冷え防止にもつながる。

 甘酒には、酒かすを搾ったものと麹でつくるタイプの2種類がある。酒かす製にはアルコール分が含まれるものもある。業務中に飲むなら麹製にして、アルコール分が無いことを確認しておこう。

 「最近は男性でも冷え性が増えている」(荒木さん)。自分の体質を見きわめ、職場環境や働き方に合わせて夏バテ防止策を講じて、夏を乗り切りたい。

(ライター 加納 美紀)

[日本経済新聞夕刊2017年8月7日付]

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