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「蚊との戦い」進化の歴史 昔ヨモギ、いまUVライト

最先端は「誘い捕る」

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NIKKEI STYLE

蚊の季節だ。平安時代の清少納言が「にくきもの」と嫌った害虫は、1000年たった今も私たちを悩ませる。感染症を媒介する危険もあり、人々は蚊の撃退に知恵を絞ってきた。蚊との戦いの歴史をたどった。

戦いの始まりを探ると、奈良時代の「万葉集」で痕跡を見つけた。恋を詠んだ一首に「蚊火」とあり、防蚊対策の記述とみられる。マツやスギ、ヨモギを燃やして煙でいぶし、蚊を追い払ったようだ。

果たして有効なのか。道ばたで摘んだヨモギを2日間干し、自宅の庭で燃やしてみた。煙がモクモクと立ち上り、せき込む。蚊は近寄ってこない。ただ、煙は2分ほどで消えた。手間がかかるのにこの短さでは、割に合わない。

時を経て1890年、画期的な商品が登場する。大日本除虫菊(大阪市)が発売した「蚊取り線香」だ。同社の和歌山県紀州工場へ行くと、それは仏壇の線香のように細く真っすぐ伸びる棒状だった。

世界初の商品を発明したのは創業者の上山英一郎氏。大学の恩師、福沢諭吉の紹介で、米国人からキク科の花の種「除虫菊」を譲り受け栽培。線香業者と話すうちに、乾燥させた花の粉末を線香に練り込むアイデアが生まれた。

長さ20センチの棒状線香は燃焼時間が約40分と短かった。行き着いたのが渦巻き型で、安眠できる約6時間まで延ばせた。「20世紀前半にはインドネシアやオーストラリア、米国など世界中に輸出した」と工場長の浅井洋さんは話す。

1920年、煙より即効性がある除虫菊エキスを使った液体殺虫剤がヒットする。薬販売の大下回春堂(現フマキラー)が投入した「強力フマキラー液」だ。

初期は液入りの瓶に口吹き用の霧吹きが付き、フッと吹いて使った。

戦後、安定して安く生産できる有効成分が開発される。電気の普及で63年に登場したのは「マット型」。長持ちし、煙が出ない点が支持された。続いて発売されたアース製薬の液体の「ノーマット」は12時間、30日間効果が続き、取り換え回数が減った。

2000年代に入り、アウトドアでも使える「電池式」や、火も電気も電池も不要の「ワンプッシュ式」など、手軽に使える商品が普及した。

そして今注目の最新型が、紫外線(UV)ライトで蚊を誘い捕獲する機器だ。付加機能として空気清浄機や電球などに取り付けられている。

その一つがプレマ(京都市)が販売する「ブラックホールレッド+」。LEDランプが蚊を誘引するとされる波長365ナノメートルの紫外線を放ち、光触媒反応で二酸化チタンが生成する二酸化炭素(CO2)と湿気とともに蚊を引きつけファンで吸引する。薬剤を使わない防蚊対策として幼稚園や牛舎などが使っている。

害虫防除技術研究所(千葉県八千代市)の白井良和所長の協力で、効果を調べた。機器を蚊が好む1メートルの高さに設置し、蚊帳に20匹の蚊を放った。30分間で機器が捕らえたのは2匹。「蚊は汗やCO2、温度を目印に、動物がいると止まる生き物。捕まえるのはすごい」(白井さん)

次に記者が蚊帳に入り、機器から70センチ離れて座った。何事もなく5分以上経過。「あれ、まだ刺されないんですか?」と白井さん。何匹か飛び始めたが、服に止まり様子見ばかりだ。

10分後に機器が2匹捕らえた後で確認すると、記者は4カ所刺されていた。白井さんは「ヒトがいて蚊が活動を始め機器に近づき、ファンが吸い込んだ」と分析した。

なぜすぐに刺されなかったのだろう。「蚊にもやる気がある時とない時がある」(白井さん)。どういうこと?

いわく、新陳代謝が活発でCO2の排出量が多い子どもや若者相手だとやる気になるのだとか。40代の記者はお呼びでなかったようだ。昔は1番に刺されたのに、蚊すら寄ってこなくなったのか……。

◇  ◇  ◇

除虫菊の蚊取り線香 今も

マーガレットのような可憐(かれん)な花・除虫菊はキク科の多年草。そのままでは効果はなく、白い花びらと黄色く見える子房などを乾燥させて殺虫成分を抽出する。花が枯れた近くに虫の死骸があり、効能が発見された。今も除虫菊で作った蚊取り線香を細々と生産する企業はある。

蚊の脅威は高まっている。デング熱は海外から帰国後、感染が確認された人が毎年250人前後おり、14年には国内での感染者も出た。ジカ熱は中南米やインドなどで猛威を振るう。ともに年間平均気温がセ氏11度以上で定着するヒトスジシマカという蚊が媒介する。日本の多くの地域でも生息するようになっており、かゆいだけではすまなくなってきた。

(畑中麻里)

[NIKKEIプラス1 2017年8月5日付]

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