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阪急うめだ本店(大阪市)内のカネボウ化粧品の売り場は全国の同社の店で売上高がトップだ。その地位に押し上げたのが売り場責任者の永田由美さん(44)だ。来店客へのお試しメークを全員で励行する。それも来店客の隣に立ってだ。遠回りのようだが、販売単価の上昇と売り場全体の売り上げ増という結果をもたらした。文字通りの「スキンシップ」が来店客を捉えた。

阪急うめだ本店の2階には見渡す限り高級化粧品のブランドがひしめく。フロアの中央にあるカネボウの売り場には週末なら1日に100人超、月に約3000人が訪れる。永田さんは12人のスタッフを束ねる。接客時に「お試しになりませんか」のひと言を欠かさない。

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百貨店の化粧品売り場にやって来る客はゆっくりと選ぶのではなく、商品の指名買いが多い。押し寄せる客をさばくのに手いっぱいで、施術はおざなりになりがちだ。阪急うめだ本店の売り場には10人以上の行列ができることも珍しくないが、来店客の多くは永田さんの言葉に押されて商品の使い心地を試す。

「今朝の情報番組でスキンケアの特集をやっていましたね」「9月に出る新商品はもうご存じですか」。そんな会話をしながら、20~30分間で目元のファンデーションからアイライン、アイシャドー、マスカラまでのフルメークを施す。スタッフにも「必ずお客様の肌に触れるように」と指示している。

売り場ではメーキャップブランドの「ルナソル」の売り上げが最も多い。単価は3000~5000円程度で、自社のメーキャップ商品ではドラッグストアなどの量販店向けの「KATE(ケイト)」の3倍はする。「付加価値に見合う満足感をお客様に持って帰ってもらいたい」と考えている。

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2009年に永田さんが着任するまで、売り場は必ずしも施術に力を入れていたわけではなかった。来店客の回転効率を上げることを優先しがちで、その場でのお試しは来店客の希望しだい。施術はカウンター越しにしていた。

売り上げは横浜高島屋(横浜市)などの売り場の後じんを拝していた。永田さんは「関西の一番店なのに活動が足りていない」と感じ、全スタッフに店頭での施術を励行させた。それも顧客の隣に座ってフルメークをする。

メーキャップ商品は化粧水などのスキンケアに比べると安く、新規の顧客が最初に手に取る可能性が高い。「カネボウの商品とお客様との出合いの場をつくり、次の来店につなげることが売り場の役割」と話す。

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