東京JAZZ、「若者の街」に響け 丸の内から渋谷へ

代々木公園のケヤキ並木もジャズストリートとして会場になる(写真はイメージ図)
代々木公園のケヤキ並木もジャズストリートとして会場になる(写真はイメージ図)

日本最大級の国際ジャズ祭、東京JAZZ。16回目を迎える今年から渋谷に移転する。NHKホールや代々木公園、渋谷駅、ライブハウス、能楽堂など地域ぐるみの一大イベントになる。

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「2017年、東京JAZZは渋谷に移転します」。昨年9月、東京JAZZのフィナーレで、こんな予告文がスクリーンに現れてファンを驚かせた。

2002年に現在の味の素スタジアムで始まった東京JAZZは、06年から昨年まで、都心の丸の内にある東京国際フォーラムを中心に開かれてきた。「主な客層は50~60代の男性で、丸の内というビジネス街にもマッチしていた」と東京JAZZの平井流土プロデューサーは言う。

しかし、国際フォーラムが20年東京五輪のウエートリフティング会場に使われるなど、いくつかの事情から移転することになった。「近年は新しい音楽と融合し、ジャズそのものが多様化している。若者の街である渋谷が舞台なら、従来とは違う新しいタイプのジャズも発信できる。並木道や駅、能楽堂など、有料、無料の多彩な場所で、幅広い世代に楽しんでいただきたい」と平井プロデューサー。

100年の歴史紹介

ディレクターに抜てきされた挟間美帆
9月2、3の両日とも出演するピアノのチック・コリア(写真左)と今年で90歳を迎えるサックスのリー・コニッツ(同右)

メイン会場はNHKホール(9月2、3日)。注目されるのは3日昼の「JAZZ100年プロジェクト」だ。ジャズの最初のレコードが発売された1917年から100年を迎えるのを記念した企画で、米ニューヨーク在住の気鋭の作曲家、挟間美帆がディレクターに抜てきされた。

「ディキシーランド、スイング、バップ、クールなどと変遷した100年を1時間で紹介するのは大変ですが、各時代を代表する有名な曲を選び、時代背景の説明も入れながら、オリジナルの楽譜を忠実に再現したい」と挟間は意気込む。

演奏は名門のデンマークラジオ・ビッグバンド、ソリストはリー・コニッツや日野皓正、山下洋輔といったベテランがそろう。挟間は「ジャズの歴史的な瞬間を当事者として経験してきた人ばかり。各時代のムードがリアルによみがえると期待しています」と話す。

20歳のドラマー、川口千里

早くから「天才少女」と注目されてきた20歳のドラマー、川口千里の初出演(3日夜)も話題だ。川口は「最年少の若さを生かし、私たちがステージに上がったら急に明るくなったと言われるくらい、ハッピーな演奏にしたい」と話す。

「今回の東京JAZZはスティーブ・ガッド、ピーター・アースキン、デイヴ・ウェックルとドラムの名手が集まるから、同じドラマーとして本当に楽しみ。間近で演奏を見て勉強したい」と川口が付け加えた。

渡辺貞夫がデイヴ・グルーシンやリー・リトナーとともに1978年の大ヒット作「カリフォルニア・シャワー」の曲などを演奏(3日夜)し、ピアノのチック・コリアが2日昼と3日昼に違うプログラムで登場するなど、ホール公演は注目のプログラムが多い。

従来の枠超えて

1~3日にはライブハウスのWWWとWWWXも東京JAZZの会場になる。コーリー・ヘンリー&ザ・ファンク・アポストルズ、ジム・オルークや石橋英子らの「カフカ鼾」といった国内外のグループが、従来のジャズの枠に収まらない最先端の音楽を聴かせる。

セルリアンタワー能楽堂も2、3日は東京JAZZの会場になる。3日昼にはアル・ディ・メオラ、同日夜は渡辺香津美とギターの名手がソロで登場する。

無料で楽しめるプログラムも各地で用意されている。1、2日には渋谷駅構内で「ステーション・ジャズ!」と銘打ち、国内外のビッグバンドが競演する。

代々木公園ケヤキ並木にもピアニストの松永貴志をはじめ、数多くのミュージシャンが登場し、NHKホール横の並木道がジャズストリートに変貌する。渋谷の街を練り歩くジャズパレードも予定されている。

会期は9月1~3日。20万人の来場が見込まれている。来年以降も渋谷を会場に、街と一体化したフェスを目指すという。

(編集委員 吉田俊宏)

[日本経済新聞夕刊2017年7月24日付]

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