出張!スーツの上手な収納法 クルクル丸めてシワ防ぐ
夏場の出張で、頭を悩ませるのがスーツの扱いだ。スーツバッグに入れれば簡単だが、荷物はできるだけ減らしたい。機内に持ち込めるバッグに、上手に収納する方法はないだろうか。
スーツの扱い方に慣れているだろうと、オーダースーツの老舗、銀座英国屋の銀座本店を訪ねてみた。副社長の小谷邦夫さんに「シワができないスーツのたたみ方」を実演してもらった。
裏側に折り 汚れから守る
まずは上着。最初は上襟の中心を軸にして、裏地が表側にくる方向で、縦に2つ折りにする。肩の縫い線の頂点をつまむようにして、下襟のラインをそろえるのがポイント。折り紙と同じで最初にきれいに折ることが大切なようだ。いきなり裏返す手順に少し驚いたが、表面を傷や汚れから守ることにもつながると聞いて納得した。
次に、片方の袖ぐり(アームホール)に手を入れ、もう一方のアームホールに軽く押し込む。服を傷めないためにも、押し込み過ぎず、拳一つ分出る程度まででいい。肩パッドのラインがそろうように意識すると、きれいにはめられる。
改めて襟が重なるよう整え、あとはクルクル丸めるだけ。首側がら裾側に向かって、4回ほど巻けば終わりだ。あとはパンツだが、上着をくるむだけ。縦の折り目をそろえたうえで、裾の部分を丸めた上着の上に置き、包み込むように一巻きすればいい。これでスーツの上下がA4サイズ大、厚さ約20センチにまとまった。機内持ち込みできるキャリーバッグにも十分収まる。
シワがつきにくいといっても、丸めている時間が短いに越したことはない。所要時間も1~2分なので、他の荷物のパッキングを済ませておけば、でかけるまでハンガーにつるしておいても間に合う。バッグの蓋の裏などにあるネットに毎回入れると決めておけば、どこに入れるか悩むこともない。
スーツといえばワイシャツ。スーツと違い、さすがにたたみ方ぐらいは分かるが、例えば、クリーニングからハンガー仕上げで戻ってきていると、シワのつかないパッキングまでの自信はない。少々のシワであれば、上着とネクタイでごまかせる気もするが、出張用に、1着はたたみ仕立てにしておけば安心できる。
靴もバッグに入れるなら、つま先とかかとが互い違いになるよう靴底を合わせ、袋に入れて安定するよう底に置く。凹凸が収まるのでかさばらず、靴底で表面を傷めない。
残るはベルトやネクタイなどの「小物」だ。ネクタイも折り目が気になるなら、ベルトのように巻いてしまい、荷物の隙間にはめ込めばいい。せっかくきれいに丸めたスーツも、バッグの中で動き過ぎるとシワがつくかもしれない。隙間が多い場合は下着などで埋めておけば、バッグの中身は安定する。
スーツバッグを使う場合は、たたむ方向に気を付けたい。前かがみのように折ると、襟の構造上、横じわが残りやすいという。胸を反り返らせるように、裾の部分を背中側に折るのが正解だ。(動画で収納の手順を解説した過去記事「出張に役立つ! スーツにシワを作らないパッキング術」もご覧ください)
宿に着いたら 早めに荷ほどき
いずれにせよ、宿に着いたら、早めに荷ほどきして、スーツはハンガーにかけよう。パンツはプレッサーがあれば手っ取り早い。最近は部屋に置いてある宿も少なくない。プレッサーは上着にも使えそうな気もするが、さすがに「おすすめはできない」(英国屋)という。
それよりも、ハンガーをかける場所を工夫しよう。シワが気になるなら、クロークではなく使用後の浴室にかける。湿気が充満してスチームアイロンの役割を果たしてくれる。浴槽にカーテンレールなどがあれば、ハンガーもかけやすい。いざとなればアイロンまで貸してくれる宿もあるが、よほど深いシワでなければ、上着自体の重みも手伝って、一晩でかなりとれるという。
飛行機は特に、上着を掛ける場所もなく、着たまま座って、腰の部分などに目立つシワがつきやすい。英国屋では入社直後に教わるというスーツのたたみみ方は、想像以上に簡単だった。荷物の多寡にかかわらず、たたんでパッキングしてしまうのは有力な選択肢の一つだ。出張といえば身軽さ重視で、可能な限りカジュアルな服装を選んでいたが、次回はスーツにしてみようかな、と思った。
(嘉悦健太)
[NIKKEIプラス1 2017年7月22日付]
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