ヘルスUP

健康づくり

楽なのに脂肪が減る 初心者もできるスロージョギング 膝など痛めにくく、メタボ改善効果も

NIKKEIプラス1

2017/7/22付 NIKKEIプラス1

PIXTA

 笑顔を保ちながらゆっくり走る、疲れにくいのに脂肪が減る――従来の走り方のイメージを覆すのが「スロージョギング」だ。少し走っただけでくたびれてしまい、続けられなかったという人も一度試してみよう。

 スロージョギングとは歩く程度のゆっくりした速度で走るジョギング法で、福岡大学の田中宏暁・スポーツ科学部教授が考案した。速く走るのではなく、楽に走るのが目標だ。体力を消耗しない走り方のため、走ることが苦にならず、結果として長い距離を走れるようになる。

 スポーツ科学が専門で自身もランナーの京都学園大学健康医療学部の木村みさか教授は「ランニングに比べて体への負担が少なく、高齢者など比較的体力のない人にも勧められる方法だ」と話す。

 あえてゆっくり走るのには理由がある。走る速度が上がると、エネルギー源として糖を多く消費し、エネルギーを生み出した後に乳酸が発生する。乳酸がたまらないギリギリの速度でゆっくり走ると、疲労を感じることなく続けることができ、エネルギー源として脂肪を積極的に消費する。

 速度がゆっくりであっても、足を引き上げたり地面を蹴ったりするため、ウオーキングと比べて太ももやお尻の大きな筋肉をより多く使うことができる。

 走り方は一般のジョギングとは異なっている。非常に重要なのが着地だ。地面からの衝撃を減らして楽に走るため、かかとではなく足指の付け根近くで着地する。

 各地で開く体験教室でも、まずはその場で軽くジャンプして、足指の付け根付近で着地することを意識させるという。これまでのジョギングはかかとから着地して爪先で地面を蹴る走り方のため、着地時の衝撃が大きく、膝に負担がかかりやすかった。

 息を切らすことなく、笑顔を保って隣の人とおしゃべりできる程度の「にこにこペース」で走るのも特徴のひとつだ。体験教室では2人1組になり、1人が歩き、もう1人がその横を同じスピードで走る練習をする。試してみると「こんなに遅くていいの?」と思うくらいの速さ(遅さ)だ。

 ゆっくり走るには、歩幅を小さく、足を小刻みに動かすのがコツだ。最初は10センチメートル程度の歩幅から始めよう。ピッチは15秒間あたり45歩が目安になる。歩幅が大きいと足に衝撃がかかり、足の裏や膝を痛めやすくなる。

 走るといっても飛び跳ねる必要はない。足を地面に着けたときの反発力で前に進むイメージだ。腕の振りや呼吸は自然のままで構わない。あごを少し上げて視線を遠方に向けると、姿勢が良くなり、呼吸もしやすくなる。背筋が伸びると、足も引き上げやすくなる。

 スロージョギングの体験教室を企画した一般社団法人公園からの健康づくりネット(大阪市)の小野隆理事は「初めは1キロメートルも走れなかったが、続けるうちに3キロメートル、5キロメートルと延び、ついにフルマラソンを走れるようになった」と話す。細切れの時間を使って走れるので「会社の昼休みや通勤時間などを利用すれば続けやすい」と助言する。

 運動不足の解消になるのはもちろんのこと、スロージョギングは楽にエネルギーを消費できるので、内臓脂肪を減らし、メタボリックシンドロームの改善につながる。

 「にこにこペースで運動することにより、HDL(善玉)コレステロールの値が上がる、インスリンが血糖値を下げる能力を高める、血圧を下げるといった効果があることを研究で示してきた」と田中教授。心臓病患者のリハビリテーションや、変形性膝関節症の予防目的でも利用されているという。

(ライター 北沢京子)

[NIKKEIプラス1 2017年7月22日付]

ヘルスUP新着記事

ALL CHANNEL