ラジオ、増える時事番組 スマホで「いつでも再生」

「The News Masters TOKYO」で話すタケ小山氏(左)(東京都港区の文化放送)
「The News Masters TOKYO」で話すタケ小山氏(左)(東京都港区の文化放送)

ラジオ局がニュースを扱う番組を増やしている。好きな時間に番組を再生できる「タイムフリー聴取」サービスが昨年スタート。「学べる番組」でかつてラジオに親しんだ男性層を狙う。

6月下旬の早朝、東京・浜松町の文化放送のスタジオで「The News Masters TOKYO」(月~金曜午前7時~9時)の生放送が行われていた。プロゴルファーのタケ小山氏が、築地市場の移転問題などについて専門家に疑問をぶつけている。

30~50代に狙い

この番組のコンセプトは「聴く!ニュースビジネス誌」だ。3月まではトークを軸にした番組を放送していたが、内容を一新。村田武之プロデューサーは「ラジオを話術のエンターテインメントとして聴く人は徐々に減っている。能動的に聴いてもらうためには『ためになる』ことも必要になっている」と話す。

番組のホームページも工夫した。番組の情報を伝えるだけでなく、専門家らがニュースを深掘りするコラムを執筆しているのだ。「従来のような番組ファンのためのものではなく、聴いたことがない人の入り口になるようなホームページにしたい」(村田プロデューサー)。主なターゲットは30~50代の男性だ。

ラジコのタイムフリー聴取機能を使えば、いつでもスマホでラジオ番組を再生できる

こうした新番組が生まれる一因に、昨年10月に始まった「タイムフリー聴取」がある。スマートフォン(スマホ)などでラジオ番組が聴けるサービス「ラジコ」で、現在は全国の80を超える民放ラジオ局の番組を、放送後1週間であればいつでも再生できる。村田プロデューサーは「今の30~50代の男性は1度はラジオに親しんでいる。時間の制約がなければ、リスナーとして戻ってくる可能性がある」と期待する。

一般に平日午前の聴取者には高齢者が多いとされ、著名パーソナリティーによるトーク番組が多く編成される傾向があった。しかし「タイムフリー聴取」によって、これらが若い層向けの時事問題を扱った番組に変わりつつある。

ニュースの要素

東京のFM局、J―WAVEも男性層を意識し「STEP ONE」(月~木曜午前9時~午後1時)を4月に始めた。経済ニュースアプリ「News Picks」と組んで、気になる話題から現代を読み解くコーナーを設けている。

FM局が強いのはまず音楽番組。J―WAVEではこれに加え、平日昼はこれまでグルメ情報などに力を入れていた。しかし、同局の渡辺岳史編成部長は「米国のトランプ政権の誕生などで、世界情勢は不安定になっている。働く世代の関心に応えるニュース番組の要素も必要だと感じていた」と話す。

同局では平日の午後8時~10時も時事解説番組「JAM THE WORLD」を放送。タイムフリー聴取も今のところ好調だという。「FM=音楽というイメージがあるが、それだけではリスナーの幅が広がらない」(渡辺編成部長)

TBSラジオは毎週土曜の早朝に「まとめて!土曜日」(午前6時~9時)を開始。週替わりのコメンテーターとともに、一週間の出来事を振り返る。

特徴は30~40代の生活感覚に合わせた番組作りだ。パーソナリティーには30代の蓮見孝之アナウンサーを起用。同局の聴取者の中心は50代以上の男性だが「タイムフリー聴取は30代、40代が聴く入り口になるかもしれない」と同局の三条毅史編成部長。「今と未来の社会を支える世代の視点からニュースを伝えることで、これまで弱かった層を取り込みたい」。待機児童や年金問題など、子育て世代の関心に合わせた報道にも取り組む。

タイムフリー聴取を追い風に、新たな層を狙う各局。しかし「ラジコ自体を知らない人も多く、浸透はこれから」(TBSラジオの三条編成部長)との声もある。各局ともこれら新サービスのピーアールとともに番組の内容充実を目指す。

(文化部 赤塚佳彦)

[日本経済新聞夕刊2017年7月18日付]

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