冷凍果物、シャリシャリ楽しむ 色鮮やか、口に涼風
果物を凍らせて、シャリシャリした食感を楽しむのがちょっとしたブーム。氷代わりにお茶やお酒に入れる人まで出始めた。「家飲み派」の新たな涼風になりつつある。
「ふだん日本茶を飲まない子どもたちが、イチゴ入りの冷たいお茶はおいしいと言って飲んでくれる」。伊藤園で日本茶文化に精通する谷川俊樹さんはこの夏向けに考えた「冷凍果物入り水出し緑茶」に自信を示す。いったいどんなお茶なのか、谷川さんに作ってもらった。
茶葉量は1.5倍 待つこと10分
用意した茶葉は抹茶で、1人分としては通常の1.5倍ほどの6グラム。ティースプーン3杯分を透明なガラス製の急須に入れた。その後、急須に200ミリリットルの水を注ぎ、冷凍庫で凍らせたイチゴ3個を急須にポトリ。待つこと10分、茶こしを利用してグラスに小分けで注いでできあがった。
飲んだ瞬間、口中にイチゴの甘みが広がり鼻から茶の香りが抜ける。冷たくて甘くまろやかな味だ。これなら子どもも喜ぶはず。急須から見える抹茶のグリーンとイチゴの赤の対比が鮮やかだ。「イチゴのほかパイナップル、ブルーベリー、マンゴーもOK。かんきつ類は酸味がすぐお茶にしみるので5分ほどで飲める」と谷川さん。和であれ洋であれ、夏のお茶請けにいい。もちろん果物は飲んだ後、食べられる。
日本茶に含まれるカテキンやポリフェノールが健康に良い効果をもたらすといわれ、若い女性の間で愛飲されるこのごろ。街中には日本茶カフェが相次ぎ登場する。冷凍した方が食物繊維や抗酸化物質の含有率が高まるという研究成果もあり、果物を凍らせる人が増えている。コンビニも冷凍果物を取りそろえる。ひんやり、甘みたっぷりの飲み物として面白そうだ。
今春、東京都内で社会人生活3年目に入った平野芳さんは近ごろ、アルコール飲料の家飲みで冷凍果物を使う。冷凍させると長期保存が可能なので常備していた平野さん、焼酎と炭酸の酎ハイに凍らせたレモンとブルーベリー、サクランボを入れたところ「色合いもきれいだし、凍ったフルーツが徐々に溶け、フルーツのおいしさがお酒になじんできて新鮮だった」。
試行錯誤も楽しい。レモンはもっと甘さがほしいと考え、輪切りにして砂糖をまぶしてから凍らせてみた。ブルーベリーはグラスに多めに入れて、一部をマドラーでプチプチとつぶすと果汁が酎ハイによりなじむようになった。
キウイや桃、パイナップルも試して、新作は交流サイト(SNS)にアップする。家飲み仲間の反応は上々だが「デザート感覚で楽しめ栄養価も高いけれど、くれぐれも飲み過ぎには注意しましょう」と平野さんは呼びかける。
サングリア使い アイスバーにも
家飲みでさらに面白い組み合わせはないか。アサヒビールでアルコールを使った新メニューを飲料店に提案する内崎亜希子さんに尋ねると「お酒と果物を使ったアイスはいかがですか」と提案された。
おすすめはレッドサングリアとオレンジを合わせたアイス。まずサングリアとオレンジジュース、ショウガの搾り汁を混ぜ合わせる。次にざく切りにしたオレンジとはちみつを混ぜ合わせ、それぞれを合わせてアイスの型に入れて冷やし固める。シリコン製のアイスの型は100円ショップで買える。夜、内崎さんのレシピ通りに作った。翌日の夜が待ち遠しい。
フルーティーなサングリアの食感にオレンジの酸味が絶妙。ショウガ風味もアクセントとして利いている。内崎さんによると、オレンジをはじめかんきつ類はレッドサングリアとの相性がいいという。キウイとメロンは白のサングリアで合わせたい。果物の種類を問わず、好みでウイスキーやグレープフルーツジュースを使えば楽しさは広がる。
外で夜風に当たりながら型に入った4本全部食べた。やがて足元がおぼつかなくなったのに気づいた。これは大人のアイスなのだ。家庭では、子どもが口にしないよう注意した方がよさそうだ。
アルコールであれノンアルコールであれ、家飲みは自宅ならではの気軽さが魅力のひとつ。友人を呼んで楽しんでも、出費が少なくて済む。だが果物で趣向を凝らしたドリンクも、相手に無理にすすめては台無し。飲み物同様、おしゃれに振る舞いたい。
(保田井建)
[NIKKEIプラス1 2017年7月15日付]
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