髪の老化防止は土台から もんでほぐして健やか頭皮

加齢とともに髪がやせてきた、パサつきやうねりが気になる、という悩みをよく聞く。髪の老化を食い止めるには、土台である頭皮の血行促進が不可欠だ。頭皮マッサージを習慣化しよう。

遠藤 宏撮影

年齢を重ねると失われがちな髪のボリュームとツヤ。それだけに、ハリのある美髪を保っていると、若々しい印象を与えることができる。

髪は頭皮の外に出ている毛幹と頭皮の中にある毛根からなる。毛根の深いところにある毛母細胞が分裂を繰り返し、毛根が押し上げられることにより伸びていく。毛幹は実は“死んだ細胞”の集まりだ。自己修復機能がなく、傷めると自然には元に戻らない。だから新しい髪を作り出す毛根に働きかけ、最初から傷み知らずの髪を生やすのが美髪への近道といえる。

血の巡り改善 毛根に栄養供給

このために有効なのが、頭皮マッサージ。頭はストレスで凝り固まりやすい。血液の循環が悪くなりがちな部位だ。日本ヘッドスパ協会(東京・渋谷)理事の石橋清英さんは、頭皮を動かして凝りをやわらげ血行を促すと、「毛根への栄養と酸素の供給が増える。これが健やかな髪の成長につながる」と話す。

そこで頭皮ケアとヘアケア専門のサロン・ド・リジュー(東京・港)代表の永本羚映子さんに、頭皮マッサージのやり方を聞いた=写真上。

まずは、握りこぶしの関節で耳の上を少し強く押す。そして「頭皮を動かすように、ゆっくり数回、ぐるぐるっと回転させる」(永本さん)。頭皮の凝りをやわらげる効果があるという。

次に、耳上の髪を多めにつかみ、斜め上へぐーっと引っ張り上げる。頭皮と顔が心地よくリフトアップするのを感じるはずだ。

そして、親指を耳上のやや下にあるくぼみに当て、少し強めに押す。そのまま頭皮を斜め上に持ち上げる動作を数回繰り返す。ほかの指は頭頂部を徐々に移動させながら押していく。

ポイントは、頭頂部のほぼ中央にある百会(ひゃくえ)というツボだ。ここを中指で刺激しよう。永本さんによると「頭にはツボと経絡が集中している」。ツボを意識しながらマッサージすると、血行促進以外にも、肩凝りや自律神経の乱れ解消などさまざまな効果が期待できる。

さらに耳の前に親指を当てて支え、そのほかの指を頭頂部で交差させては離しながら「分け目をジグザグもんで頭皮をほぐす」(永本さん)。

仕上げは親指で 後頭部ツボ刺激

最後はうなじに親指を当て、ほかの指で後頭部全体をぐっとつかもう。そこから徐々に頭頂部までもみ上げる。はじく動作を加えるとなおよい。仕上げに「天柱(てんちゅう)と風池(ふうち)を親指で刺激して」(永本さん)。天柱とは首の後ろの太い筋肉の外側にあるツボ、風池は天柱の指1本外側のツボだ。

マッサージの所要時間は2~3分。頭皮の活性化だけでなく、リラクセーション効果も得られる。シャンプー前後に限らず、仕事の合間など、疲れを感じた時に行いたい。

シャンプー中にマッサージするのも、習慣化しやすい方法だ。シャンプーは2度洗いが原則。1回目は汚れや皮脂を浮き上がらせて洗い流すのが目的で、2回目は頭皮をマッサージする目的で行う。

ぬれた髪は、表面を覆っているキューティクルが開いた、デリケートな状態になっている。髪をゴシゴシこするのは厳禁だ。マッサージのターゲットは髪ではなくあくまで頭皮。石橋さんは「生え際から頭頂部に向かって、指圧するようにマッサージする」ことをすすめる。このとき、10本の指の腹を頭皮に直角に当てるのがポイント。やや強めの圧を加えながら押していこう。

シャンプー選びも大切だ。「洗浄力が強いシャンプーを使うと、皮脂を取りすぎてしまうので要注意」と石橋さんは言う。ある程度の皮脂は、髪の潤いに必要だ。皮脂を取りすぎると、皮脂腺が皮脂不足と判断し、かえって過剰に生産してしまう。「毛根に供給されるべき栄養を奪い、細毛や薄毛の原因になる」(石橋さん)。髪のエイジングが気になる世代は、洗浄成分の種類に注意して選びたい。

「頭皮マッサージは、これから生えてくる髪へのアプローチ」と永本さん。毎日継続すれば、髪の状態がきっと変わってくるはずだ。

(ライター 松田 亜希子)

[NIKKEIプラス1 2017年6月24日付]