高校時代にアルバイトでお金をためて30万円のロレックスを買うほどだったが、売り手になるつもりはなかった。3年ほど高級ブランド店やセレクトショップで洋服の販売員をするなかで高級腕時計の販売をしてみたくなった。転職支援会社を通じ、日本の総輸入代理店で店舗を運営するワールド通商(東京・中央)の話が舞い込んできた。フランク・ミュラーは雑誌で名前を知る程度だった。

顧客のハレの日に寄り添う

配属当時を「緊張で穴だらけ」と振り返る。初めて売ったのは75万円のリング。偶然訪れた70代の女性が買った。今でも鮮明に思い出す腕時計の販売員としてのほろ苦い出発だった。

直営4店の腕時計の売れ筋は1本300万円前後。富裕層の客が多い銀座という立地もあるが、清水さんは最高で07年に3億6000万円を売り、同年の全国平均1億5000万円をゆうに超える数字をたたき出した。「裕福だとしてもただ欲しいから買うのではない。仕事での成功や記念日、お祝いなどの節目で購入する。販売員はその時に優しく寄り添えなければならない」

重力がもたらす誤差を補正する「トゥールビヨン機構」を備えた8000万円の腕時計が常連客に売れたときは店頭ではポーカーフェースを崩さなかったが、心の中では「やったあ」。それもつかの間、価格の高さから「マイホームを買うようなもの。販売員としての責任から不安になった」。

実績を重ね、入社から8年後に副店長に指名された。存在感が増す一方の銀座店で後輩に身につけたことを伝える。エースの新たな目標だ。

(原欣宏)

しみず・かずまさ
国内外の衣料品会社を経て2004年、フランク・ミュラーの総輸入代理店であるワールド通商に入社。主力店「フランク・ミュラー・ウォッチランド東京」に配属。12年4月には副店長に就き、後進の育成にも当たる。東京都出身。

[日経産業新聞2017年6月21日付]

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