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人気広がる苔の名所10選 梅雨こそ、魅力しっとり

NIKKEIプラス1

2017/6/17付 NIKKEIプラス1

雨の季節、苔(コケ)が息を吹き返す。
森に神秘が広がり、古刹の庭を緑が覆う。
梅雨に映える苔の名所をランキングした。

 苔の緑を楽しむなら、梅雨の時期が一番。体に水分を染み渡らせ、濃淡様々な緑でよみがえる。しっとりと雨に打たれる姿は苔の魅力を際立たせる。国内には1800種近い苔が生息しているという。

 今回のランキングでは、自然の中の苔が上位を占めた。いずれも日本蘚苔(せんたい)類学会が選定している「日本の貴重なコケの森」に選ばれた場所。定期的に観察会を開いたり、専門ガイドが案内してくれたりと、受け入れ態勢が整っている点も評価されたようだ。ただ、苔を観察するときは立ち入り禁止区域に踏み入ったり、苔を傷めたりしないよう注意したい。

 このところ目立つのは「苔ガール」と呼ばれる女性ファン。星野リゾート奥入瀬渓流ホテル(十和田市)では専用の宿泊プランを用意している。ガールに続き、「最近はオヤジの苔ファンも増加している」(左古文男さん)という。「ルーペやカメラなどがあれば簡単に始められるのが苔観察の魅力」(同)。苔ファンの裾野が広がりそうだ。

1位 白谷雲水峡 920ポイント
幻想的「もののけ」の世界(鹿児島県屋久島町)

 縄文杉で有名な屋久島にあり、宮崎駿監督のアニメ映画「もののけ姫」の舞台といわれる幻想的な森。入り口の広場から白谷川の清流に沿って登山道が延び、天に向かってそびえる巨木や苔むす渓流の風景が続く。高温多湿の気候は苔の生育には最高の環境で、原生林の地表を珍しい植物が覆う。希少な苔類も多数生息している。「神秘的な雰囲気を感じさせる深い森は樹木や岩が苔に覆われ、苔植物が織りなす景観として非常に優れている」(道盛正樹さん)

 「ルートを歩くだけで、どこを向いても苔ばかりの森に迷い込む」(上山美穂さん)。雨が多い森林を歩くので登山装備が不可欠。

 (1)交通 宮之浦港からバスで約30分(2)大人1人の料金 500円(協力金)(3)連絡先 0997・42・3508(屋久島レクリエーションの森保護管理協議会)

2位 八ケ岳白駒池 850ポイント
高地特有 透き通る美しさ(長野県佐久穂町など)

 北八ケ岳にたたずむ神秘的な湖、白駒池。周囲には深い原生林が広がり500種類近い緑の苔が生息している。針葉樹林帯に位置し「林床を覆うコケ群落は亜高山帯特有の種類が豊富」(道盛さん)。特に、葉が透き通り鮮やかな「ムツデチョウチンゴケの群落は見ごたえがある。ヒカリゴケをあちこちで見られるのも楽しい」(西村直樹さん)。池を中心に10カ所の苔の森が点在し「高齢者でも回れるコース設定が魅力」(左古文男さん)。

 「10月までは毎月、苔観察会が開かれる」(藤井久子さん)。

 (1)JR茅野駅からバスで約70分(3)0267・88・3956(佐久穂町産業振興課)

3位 奥入瀬(おいらせ)渓流 630ポイント
清流と鮮やか緑のコントラスト(青森県十和田市)

 十和田湖から流れ出る奥入瀬川に沿って約14キロ続く渓谷は、十和田八幡平国立公園に属する天然記念物。躍動感あふれる水の流れに、緑豊かな自然林。その根元や岩の表面には豊かな緑鮮やかな苔が生息する。「何よりも清流と苔が作り出す景観が秀逸」(上野健さん)

 「アップダウンが少なく遊歩道も広めなので、雨が降っていても散策しやすい。梅雨時にもお勧め」(藤井さん)。

 (1)JR八戸駅からバスで約90分(3)0176・75・2425(十和田湖国立公園協会)

4位 西芳寺 510ポイント
120種が覆う圧巻の「苔寺」(京都市)

 「苔寺」の別名で知られる寺の境内は約120種類が庭園全体を覆う。「緑の厚いじゅうたんを敷き詰めたような美しさは圧巻」(青木之さん)。静かで落ち着きのある空間で、日本の情緒を感じることができる。

 作庭は鎌倉時代の夢窓疎石にさかのぼり、数百年を経て多種多様な苔が居ついた。「歴史に思いをはせながら見るとより深みが増す」(藤井さん)。「長年丁寧に管理された時間の積み重ねが苔の生育に表れている」(上野さん)。1994年には清水寺などと共にユネスコの世界文化遺産に登録。拝観は2カ月前から往復はがきで受け付ける。希望日の7日前必着。庭園のみの拝観は受け付けず、写経などへの参加が必要になる。

 (1)JR京都駅からバスで約60分(2)3000円(3)075・391・3631(西芳寺)

5位 苔の里 350ポイント
まるで緑の海原(石川県小松市)

 杉の美林に囲まれた苔むす庭園や神社、古民家など里山地区の自然や生活文化について、ガイドから解説を受けながら鑑賞する。「杉木立の林床を覆う苔のマットは素晴らしいの一語」(西村さん)。「敷地中心の築山に向かって苔が盛り上がっていく様は、まるで緑の海原のよう」(藤井さん)。「苔ゼミなどの催しが充実している」(大石善隆さん)が、立ち入り区域は限定されている。

 (1)JR小松・加賀温泉駅から車で約20分(2)500円(環境整備協力金)(3)090・7083・6969

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