アイスケーキ10選 夏を涼しく、味よし見た目よし
彩り豊かで、見た目にも涼しい。
夏の贈り物に合うアイスケーキを比べてみた。
特別な日に食べるアイスケーキ。フランスではアイスやシャーベットを使ったデコレーションケーキのことをアントルメグラッセと呼び、職人が腕を競う。専門店も多く、1年を通して人気だ。
「16世紀、イタリア・メディチ家のカトリーヌ・ド・メディシスがフランスのアンリ2世へ嫁いだときにジェラートも伝わり、アントルメグラッセへと発展していった」(菓子の歴史に詳しい吉田菊次郎さん)
多彩な外見や断面の美しさはまさに職人芸。「いろいろな味を楽しめて、華やかで写真映えも抜群」(こどもパティシエ代表の山内奈月さん)
これからの暑い季節、ゴージャスなアイスケーキは誕生日や記念日の贈り物にぴったり。ただしサイズが大きいものが多く、冷凍庫には空きスペースが必要。贈る前に確認しよう。
「バルーンドフリュイ」 箱開くと幸せのボール
アイスで作ったデコレーションケーキ、「アントルメグラッセ」の専門店。「ルタオ」ブランドで菓子を製造・販売するケイシイシイ(北海道千歳市)が2013年、東京・表参道にオープンした。札幌にも店舗がある。「フルーツバスケットのような商品をつくりたい」と、シェフがルクセンブルクのパティスリー時代に考案した。
ケーキは4層になっている。上には青リンゴやフランボワーズなど5種類のシャーベットを球体状にして載せ、「箱を開けると幸せのボールが飛び出してくる」(池田恵美さん)。その下にはバニラとイチゴのマーブルアイスを搾った。
土台はバニラアイス。細かなクッキーをホワイトチョコでコーティングしたクリスピーを混ぜていて「食感がおもしろい」(吉田菊次郎さん)。アーモンドを加えた生地で覆い、ベリーソースを塗った。「見た目、味ともに洗練されている」(岡本ゆかこさん)。
(1)サイズ 直径約12センチ、高さ約9センチ(2)税込み価格(送料別) 4104円(3)http://www.glaciel.jp/
「トゥッティ・フルッティ」 口溶け良く香り立つ
人気パティスリーが手掛けるアントルメグラッセ。オレンジ、イチゴ、洋ナシの角切りとチョコチップが入ったバニラアイスをタルト生地に詰め、アイスとシャーベットをトッピングした。発酵バターを使ったタルト生地は「冷凍に負けないざくざく食感」(山内奈月さん)。
目を引くのがラグビーボール状のトッピング。赤はイチゴ、緑はピスタチオ、黄色はマンゴーとパッションフルーツ、白はミルクアイスで、口溶けの良さが特徴だ。「口に含むと香り立つ」(下井美奈子さん)。
(1)直径約14センチ、高さ約9センチ(2)3564円(3)http://www.bergue.jp/
「フレーズピスタチオ」 濃厚で滑らかな味
手作りアイスやシャーベットの専門店。アイスは水を使わず作り、濃厚で滑らかな味わい。イチゴアイスとピスタチオアイスの2層からなる土台の上にイチゴのシャーベットをあしらい、刻んだフリーズドライのイチゴとピスタチオをちりばめた。「見た目にインパクトがある」(山本次夫さん)
イチゴアイスはピューレ20%、果肉15%以上を使用。ピスタチオはシチリア産。「フレッシュさを感じる」(上野啓介さん)。外側はスポンジケーキで覆い、ベリーソースを加えた。「断面が美しく、テーブルが華やぐ」(瀬戸理恵子さん)。
(1)直径約12センチ、高さ約5センチ(2)3672円(3)http://www.pleinbon.com/
「モンブラングラッセ」 コーヒーの香り高く
1963年に自家焙煎(ばいせん)のコーヒー店として創業。コーヒーに合うフランス菓子を提供している。同店の人気商品であるモンブランをアイスケーキにした。
コーヒーとマロンの2層のジェラートを、外はさっくりで中はふわっとしたメレンゲの焼き菓子、ダクワーズの生地で挟んだ。ジェラートには自家焙煎のコーヒーをたっぷり使い、マロンジェラートには刻んだマロングラッセを加えた。「コーヒーの香り高さとマロンクリームが好相性」(平岩理緒さん)
外側には緑が鮮やかなピスタチオクリームとフランス産の栗を使ったマロンクリームをあしらい、色合いも楽しい。「華やかなフルーツを使わずに勝負している」(糸田麻里子さん)。
(1)直径約14センチ、高さ約8センチ(2)3672円(3)http://www.cafe-tanaka.co.jp/
「アボンダンス」 豊富なフレーバー特徴
フランス菓子店が手掛けるアイスケーキ。ヘーゼルナッツ入りのバニラアイスをスポンジで巻き、カラフルなアイスやシャーベットをトッピングした。ナッツは大粒で香ばしく、ちょうどいいアクセントになっている。「ごろごろの食感で、食べ進んでも飽きない」(山内さん)
アボンダンスはフランス語で「潤沢である」という意味。その名の通り、豊富なフレーバーが特徴で、トッピングする8種類のアイスは季節に応じて変わる。「いろんな味を楽しめる」(下園昌江さん)
シェフがフランスで修業していたときに学んだアイスケーキを、日本人に合うようデザインやサイズを変更。季節によって見た目や味が変わるため、飽きずに通年楽しめる。
(1)直径約12センチ、高さ約8センチ(2)3300円(3)http://www.lavieillefrance.jp/
「マリアージュ」 口当たり良く風味しっかり
愛知県のジェラート専門店。マダガスカル産のバニラビーンズを使ったジェラートの中に、イチゴとフランボワーズを組み合わせた丸いジェラートを入れ、ピスタチオを練り込んだアーモンド生地で挟んだ。ピスタチオは2年に一度しか収穫されないイタリア・ブロンテ産を使っている。見た目は「フランスの伝統菓子、フレジエのよう」(平岩さん)。
ジェラートは氷の結晶をミクロ単位で研究。結晶を少なくすることで口当たりを滑らかにし、軽めの食感に仕上げた。フルーツの産地や品種にもこだわり「風味がしっかりしていて食べやすい」(上野さん)。
(1)直径約10センチ、高さ約5センチ(2)3456円(3)http://pannotora.shop-pro.jp/
「苺のデセール・グラッセ」 バニラの濃いカップサイズ
イチゴのショートケーキが有名な洋菓子店のアイスケーキ。カップサイズで「コンパクトにまとまっているのがいい」(糸田さん)。
逆さまにしてカップから取り出すと、一番上にはジュレがあり、4等分したイチゴと甘い香りのハーブ、セルフィーユが載っている。その下には濃厚で滑らかな果肉入りのバニラアイス。さらに下にはさっくりしたビスキュイ生地がリング状にアイスを囲んでいる。イチゴのピューレとメレンゲを合わせたムースも入っており、「バニラの濃さとのバランスがとてもいい」(岡本さん)。
(1)直径約5センチ、高さ約5センチ(2)518円(3)http://frenchpoundhouse.com/index.html
「バニラカラフル」 生地使わず5種類の味
アイスケーキの通販専門店。アイスそのものを味わってもらうため、スポンジやクッキー生地は使っていない。宇治抹茶やマンゴー、フランボワーズなど5種類のアイスをトッピング。「色味が多く、いろいろな味が楽しめる」(池田さん)
土台はバニラとショコラアイス。パプアニューギニア産のバニラ豆、スイスとベルギー産のチョコを使った。バニラとショコラの間にはカシューナッツが挟まり「香ばしさがアクセントになっている」(下井さん)。
(1)直径約16センチ、高さ約5センチ(2)4500円(送料込み)(3)http://www.ritatino.com/
「ストロベリーブーケ」 メレンゲのサクサク食感
「うなぎパイ」で知られる浜松の老舗菓子メーカーのアイスケーキ。当初は店頭販売のみだったが、要望が多く昨年から全国配送を始めた。
イチゴとバニラ、2種類のアイスをメレンゲで覆い、イチゴをトッピングした。「イチゴの花が咲いたようなデコレーションがかわいい」(平岩さん)。メレンゲを使うことでサクサクした食感が加わり、見た目にも立体感が出た。「メレンゲとアイスのバランスがいい」(上野さん)仕上がりになっている。
(1)直径約12センチ、高さ約8センチ(2)3456円(3)http://www.shunkado.co.jp/
「アイスデコレーションケーキ」 コクあるザラメ糖使用
オレンジ風味のクッキー生地の上にチョコとバニラ、2層のアイスで土台を作り、季節のアイスとフルーツをトッピング。国産のマンゴーで作ったソースを塗って華やかに仕上げた。「アイスの口溶けがいい」(上野さん)
牛乳は濃縮乳、砂糖はコクのあるザラメ糖を使用。香料や着色料を使わず、シンプルに仕上げた。「ていねいな仕上がり」(山本さん)。風味の強い国産のイチゴ、フランス産のブルーベリーやフランボワーズなど店主がこだわった素材を使い「ボリューム満点」(吉田さん)だ。
(1)直径約15センチ、高さ約13センチ(2)3456円(3)http://www.revedechef.co.jp/
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ランキングの見方 数字は選者の評価を点数にした。店名(所在地)、商品名。(1)サイズ(2)税込み価格(送料別)(3)入手方法など。スタイリング・しのざきたかこ、写真は4位のみ同店提供。ほかは矢後衛撮影。
調査の方法 専門家に取り寄せができるか、全国で入手できるおすすめのアイスケーキを挙げてもらい、23品を選出。名前を伏せて試食し、贈り物に最適、見た目がいいなどの観点で順位をつけてもらい、集計した。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。
池田恵美(イタリア家庭料理教室タボラータ)▽糸田麻里子(フードエディター)▽上野啓介(中沢乳業シェフパティシエ)▽岡本ゆかこ(フードスタイリスト)▽下井美奈子(スイーツコーディネーター)▽下園昌江(お菓子研究家)▽瀬戸理恵子(フードエディター)▽平岩理緒(「幸せのケーキ共和国」主宰)▽山内奈月(こどもパティシエ代表)▽山本次夫(リストワールヤマモトオーナーシェフ)▽吉田菊次郎(ブールミッシュ代表取締役社長)
[NIKKEIプラス1 2017年6月10日付]
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