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パイオニアは業務用車両向けのサービスに力を入れている。その中の運行管理サービスの営業は20人ほどが担当する。提案した件数に占める成約の比率は平均で約3割だが、渡辺勇人さん(33)は6割と突出する。「気になったら調べずにいられない」好奇心の強さが提案力につながっている。介護業での採用実績が好例だ。

パイオニアの運行管理サービス「ビークルアシスト」はクラウドコンピューティングを使い、カーナビゲーションシステムを通じて業務の指示や安全運転の注意喚起ができる。渡辺さんが所属する本社(東京・文京)のカーソリューション部が主に営業している。

ビークルアシストの売上高の1割ほどをデイサービス(通所介護)関連が占めている。関東地区を担当している渡辺さんがそのきっかけをつくった。

小さな傷 見逃さず、デイサービスの会社に攻勢

2015年10月。当時の勤務地だった大阪市内で営業車を運転する道すがら、デイサービスの車両を多く見かけることに気づいた。運転手は女性が多く、よく見るとバンパーに小さな傷が目立った。

知りたい気持ちを抑えられず、業界団体のホームページからデイサービスの会社をリストアップして順番に電話をかけた。「車載機器の開発に役立てたいのでぜひ話を聞かせてほしい」。売り込みだと怪しむ相手を説き伏せ、何とか面会の約束を取り付けた。

聞くと人手不足で専任の運転手を雇えず、介護スタッフが自ら運転していた。介護スタッフには女性が多い。送迎する高齢者は日々違い、紙の地図を見ながら道順を確認する。道順を気にして安全運転がおろそかになった結果が、バンパーの傷に現れたという。

その場で渡辺さんは運行管理サービスを応用すれば解決できると感じた。送迎する高齢者を管理者がパソコンで指定するだけで最適な道順をカーナビゲーションシステムに示すサービスを、その会社に提案した。

会社が利用を始めると効果は絶大だった。介護スタッフに「道順を覚える負担から解放された」と喜ばれただけでなく、経営者にも「事故が減って保険料が安くなった」と歓迎された。「介護スタッフの負担が減ったことをPRでき、新規の採用がしやすくなった」とも言われた。

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