夏こそ楽チン、オーブン料理 ごちそう30分待つだけ
夏場、台所での調理は暑くて大変。ならばオーブンを使ってはいかが。冬のイメージが強いが、いったんセットすれば台所を離れられる。準備も片付けも手軽で、実は夏の強い味方だ。
「夏にもオーブンを取り入れてほしい」。オーブン料理に詳しいフードスタイリスト、新田亜素美さんは力説する。オーブン料理は見栄えもよく、普段使いはもちろん、おもてなしにも使える。肉も魚介も野菜に合い、味付けなど組み合わせが豊富。飽きずに楽しめて、手軽に済ませたい夏にぴったりだ。
色鮮やかな 野菜がお薦め
オーブン料理の食材は「基本的に何を選んでも間違いはない」(新田さん)。特に夏場は色鮮やかな夏野菜を使うといい。トマト、なす、ズッキーニ、ピーマン、トウモロコシ、ゴーヤ。夏野菜は色が濃く鮮やかで、目にもおいしい。季節の野菜は家計にもやさしい。鳥や豚、魚介などと相性が良く、使いやすい。
調理の手順は3つ。まず、火が通るように野菜を大きめにざく切りする。「ピーマンのタネやワタを残しても、オーブンで焼くと気にならない」(新田さん)。プチトマトは枝つきのまま使うとレストランのようなおしゃれな雰囲気を演出できる。
次にタレと食材をボウルで混ぜ合わせる。まずは味がしみるように肉や魚介から混ぜ、ある程度混ざったら野菜を加える。夏には食欲をそそるピリ辛味がおすすめだ。味噌にコチュジャン、ニンニク、ハチミツを合わせたピリ辛味噌はスペアリブなど骨付き肉と相性抜群。シンプルに仕上げたい場合はオリーブオイル、塩、ニンニクの3つだけでも十分だ。
最後に天板にオーブンシートを敷き、野菜を並べていく。肉や魚は野菜の上に載せて、こんがりと焼き目がつくようにする。ジャガイモなど根菜を入れた場合は、最初にアルミホイルをかぶせ、焼き時間の半分ほどで外す。そうすると根菜内の水分が保たれ、ほくほくに仕上がる。
準備ができたら予熱したオーブンに天板を入れ、できあがりを待つだけ。まさにほったらかしだ。時間と温度の目安は200℃で30~40分。肉の中心部まで十分火が通っていることが確認できれば調理は終わり。焼きが足りない場合は、再び加熱すればよい。
料理は天板のまま食卓に出しても豪華さを演出できる。後片付けは天板やボウルを洗うだけ。耐熱の小皿に入れて焼けば量の調整もしやすく、取り皿の洗い物を減らせる。
味付けに変化がほしい場合は、別添えのソースを作って直前にかけて食べるのもおすすめだ。新田さんが提案するのはサルサソース。青トウガラシやペッパーソースで仕上げれば、さっぱりかつピリ辛で食が進む。
余ったときはマリネにできる。「暑い季節にはさっぱりとしたマリネにするのがぴったり。冷蔵庫で2~3日は持つ」(新田さん)。レモン汁、酢、オリーブオイルなどで作ったマリネ液に野菜を浸すだけ。あえてシンプルな味付けで多めに作るのも手だ。
オーブントースターでも調理できる。オーブンよりも熱源が料理に近くなるため、アルミホイルをかけて焦げを防ごう。残り数分になったタイミングでホイルを外して焼き、焦げ目をつける。オーブンレンジなど電気オーブンの場合、新田さんは電気はガスよりも庫内が熱くなりづらいとして、設定温度を10℃上げることを勧める。
大量の食材 一気に調理
オーブン料理は、栄養の観点からも夏と相性がいい。管理栄養士の藤橋ひとみさんは「夏は麺類だけなどの食事で栄養が偏りがち。オーブン料理は野菜もたんぱく質もとれてバランスがいい」と話す。
夏野菜は抗酸化物質を多く含み、夏に必要な栄養素を効率よくとれる。ニンニクにも疲労回復や食欲増進の効果がある。オーブン料理はこうした夏野菜を取り入れやすく、ビタミンBやカリウムなど水溶性の栄養素も減りにくい。電子レンジに比べると加熱ムラが少なく、大量の食材を一気に調理できる。
また、生で食べることが多い夏野菜は「水分量が多く、東洋医学では体を冷やしやすいとされる。オーブン料理は冷えが気になる人にもおすすめ」(藤橋さん)という。
食欲が減退する夏。手軽で便利、栄養面でも優れたオーブン料理を上手に取り入れたい。
(若山友佳)
[NIKKEIプラス1 2017年5月27日付]
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