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スポーツイノベーション

2017/5/23

スポーツイノベーション

東京都港区は17年度に東京五輪のマラソンコース周辺の区道2道路で遮熱性舗装を行う。19年度にはマラソンコースの一部となる予定の区道でも工事を実施する。五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場への玄関口になる区道「スタジアム通り」でも18~19年度に舗装する。東京都も「センターコア」と呼ぶ都心部において、都道136キロメートルの舗装工事を20年3月までに済ませる。

遮熱工事の難点は臭い

都内各地で進む遮熱工事。だが、この工事にはある難点がある。臭いだ。遮熱材を構成する主な要素は、熱を反射させるための顔料と、遮熱材をアスファルトに定着させるための樹脂だ。この樹脂はMMA(メタクリル酸メチル)と呼ばれる材料が使われることが多い。施工しているときに化学物質特有の臭いが出るため、工事現場の近くを通りかかった人などが驚いて通報するケースもあったという。

そこでNIPPOは、臭いがあまりしない樹脂を採用した工法で対処している。同社の村上浩・技術管理課長は「道路の場所や目的に応じ、あらゆる注文に対応できる」と話す。この工法では、MMAの代わりに臭いの少ないウレタン系の材料を使っている。施工能力を損なうことなく臭いの問題を軽減できたという。

世界各地で都市化が進み、新興国でもヒートアイランド現象が深刻な問題になる公算が大きい。路面温度の抑制は都市の住環境改善には欠かせない。日本国内をみても「路面温度上昇を防ぐ機能を持った道路の比率は1%にすら達していない」(世紀東急工業)。東京五輪がこうした技術のショーケースのような役割を果たせば、商機拡大につながる。

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舗装業界、法令順守が課題

NIPPOと世紀東急工業に限らず、道路舗装にかかわっている企業に共通する課題がある。法令順守だ。

NIPPOを含む道路舗装10社は、東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事で談合にかかわったとして、16年2月に公正取引委員会から独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で刑事告発された。これによって公共工事での指名停止処分を受けた。世紀東急工業も独禁法に違反行為があったとして、公取委から再発防止(排除措置)を命じられた。

また、NIPPOと世紀東急工業を含む道路舗装9社は、道路舗装向けアスファルト合材の販売を巡っても、全国規模で価格カルテルを結んでいた疑いがもたれている。公取委は17年2月に立ち入り検査をした。

指名停止処分が響き、NIPPOの17年3月期の連結営業利益は、前の期比10%減の367億円にとどまったとみられる。世紀東急工業の17年3月期の連結営業利益は微増の64億円だった。

今のところ東京五輪に関連する工事の受注には影響はないとみられる。だが、法令を守れないと、せっかくの技術を生かせない。

(寺井浩介)

[日経産業新聞2017年5月11日付]