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コンビニエンスストア各社は商品を自宅に届けてその場で注文も受ける「ご用聞き」のサービスに力を入れている。東京都葛飾区の「セブンイレブン葛飾水元3丁目店」を経営する安達薫さん(58)は早くから率先して取り組み、顧客への声のかけ方や従業員のやる気の引き出し方などで磨きをかけてきた。これまでに2度、優秀店の表彰を受けている。

4月下旬、ミネラルウオーターの配達に向かう安達さんとパート従業員の大内三枝子さんに同行させてもらった。届け先は近所に住む田村りさ子さん(85)。毎日のように店に来る常連客だが、昨年末に足をケガしてからは来店が減っているという。

◇  ◇

「こんにちは。ご注文の商品をお届けしました」

「いつもありがとう。次は卵とお豆腐もお願いね」

「来週は田村さんが好きなウナギのお弁当が入りますよ」

「じゃあお弁当もいただこうかな」

月に何度か水や弁当の宅配を利用する田村さんは「重いものは自分で運べないから、すごく助かっている」。安達さんは「お元気そうで良かった。またお店にも来てくださいね」と声を掛けた。

安達さんが葛飾水元3丁目店を開業したのは1996年。まだセブンイレブンの店舗が7000店ほどだった時期だ。信用金庫に勤めていた頃から商売に興味があり、自分の店を持ちたいと思っていた。「当時は周りが畑ばかりで『街灯代わりにちょうどいい』と言われた」。ご用聞きのサービスに力を入れ始めたのは10年ほど前から。現在は20軒ほどの配達先があり、近所の小学校や事業所などからの大口の注文も多い。

サービスを広げる力になっているのが、従業員の半分を占めるパートの主婦たちだ。「なじみのお客さまに積極的に宅配を勧めてくれるので、口コミで輪が広がっている」。近所の水元公園が花見でにぎわう時期には、幹事役を務めるなじみ客などから70個の弁当の注文があった。少年野球チームの試合に弁当を届けたところ、それを見ていた対戦チームから注文が入ったこともあったという。

◇  ◇

ご用聞きのサービスに当たり、安達さんは従業員に「いくら親しくなってもお客さまとの関係は一線を越えない」ように伝えている。近所にはなじみの客も多いが、「なれなれしい言葉を使ったり、交流サイト(SNS)で連絡を取り合ったりする関係は行き過ぎ」。節度を保って向き合うように指示している。

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