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竜田揚げの由来は? 奈良を流れる川面の紅葉

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NIKKEI STYLE

奈良県北西部を流れる紅葉の名所、竜田川。川面に浮かぶ紅葉からその名が付いたのが竜田揚げだ。唐揚げとしてひとくくりにされやすく作り方の誤解も多いため、地元の生駒市と斑鳩町が本場の味の普及に動き始めた。しょうゆをベースに下味をつけてサクサクに仕上げる本来の調理法を守りつつ、魚や鹿など鶏以外にも材料を広げている。

◇     ◇

生駒市観光協会は2014年に「たつた揚げプロジェクト」をスタートした。現在31の飲食店、旅館を本場の味の提供店として認定している。その一つ、近鉄生駒駅から徒歩約3分の居酒屋「美幸 mikou」をたずねた。「たつた揚げ定食」を注文すると、大盛りサイズの鶏の竜田揚げと刺し身、自家製豆腐、かす汁が付いた御膳が出てきた。竜田揚げはサクッとした食感。かむほどに肉汁が口の中に広がり、まろやかなしょうゆ味がほど良くご飯が進む。

「竜田揚げ」の名の由来は、揚げた肉の赤色と衣の部分的な白色が竜田川の紅葉と光る水面に似ているところからきたという。いつ頃から名称が使われ始めたのかは不明だが、ヒントになるのは「唐揚げ」が外食メニューに登場したのが昭和初期という点だ。

ただ、「唐揚げ」の多くが小麦粉で揚げるのに対し、竜田揚げはしょうゆベースの下味を付けて片栗粉で揚げる。片栗粉で揚げることで衣の一部が白くなりやすい。百人一首の在原業平の和歌が情景を歌う。

ちはやぶる 神代も聞かず竜田川 から紅に水くくるとは

地元が目指すのはまさに和歌が表現する鮮やかな赤い仕上がりと和の食味だ。「美幸 mikou」の厨房で基本的な作り方を聞いた。国産の鶏もも肉を一口サイズに切り、丁寧にたれに浸す。たれは濃い口しょうゆ、みりん、酒、しょうが、ニンニクなどから作る。それを一晩寝かした後に片栗粉をまんべんなくまぶし、通常の揚げ物より低い160度程度で揚げる。

「揚げた時の油の泡は最初は小さくて多い。その泡が大きく少なくなった時にさっと引き上げると鮮やかな赤になる」。店主の荻原左久雄氏(73)が揚げるポイントを教えてくれた。

同市内で生駒ケーブル宝山寺駅近くの「城山旅館」が予約注文で提供しているのが「鹿肉と湯葉のたつた揚げ」。奈良県上北山村産もも肉をしょうゆ、しょうが、酒などで作ったたれに浸し一晩置く。片栗粉をまぶして2~3分揚げる。それを特製タマネギピューレにつけると、鹿肉独特のしっかりした食感を維持しつつ、さっぱりした味わいになる。

「ジビエブームもあり、いろんな味を楽しんでほしい。鹿肉は地元産で新鮮」と女将の岡田篤子さん(56)。旅館にはバーベキューテラスがあり、バーベキューメニューに竜田揚げをオプションで追加できる。

同じく竜田川流域沿いの斑鳩町は生駒市より一足早い13年に商工会青年部有志が「竜田揚げ上げ↑プロジェクト」を立ち上げた。23店舗が加盟し、マップ作りや県内外イベントでの屋台出店などで協力する。

加盟店の一つ、JR法隆寺駅西徒歩約1分の和食・居酒屋「菜香良志」が提供するのが「竜田揚げ鮮魚の甘酢あんかけ」だ。しょうゆ、みりん、ショウガなどで下味を付けた鮮魚を揚げ、吉野葛の甘酢あんをかけている。旬の魚を使うので春は初ガツオ、ヒラマサ、桜ダイなどが材料だ。ヒラマサを調理してもらうと、カリッとした衣と柔らかい白身の相性がぴったり。甘酢あんが上品で優しい味を演出する。

店主の中村健太氏(32)は「竜田揚げにするとサンマやサバなどの青魚のくさみが消え、カラッと揚がるので口当たりも良い。鶏ならビールだが、鮮魚なので日本酒に合う」と話す。

地元有志が作った合同会社、日本竜田揚げ協会では「斑鳩名物 竜田揚げの漬込だれ」の開発にも成功した。昨秋から県内とネットで販売し売れ行きも好調だ。「9分漬けただけで一晩寝かせたような秘伝の味になる」との触れ込みだ。JR法隆寺駅前の、斑鳩町商工会が運営するアンテナショップ「FIVE PAGODA」では、このたれを使った鶏の竜田揚げをカップ入りで販売している。

生駒市と斑鳩町の活動は今のところ別々のプロジェクト。だが担当者同士が会議を開いており、もう一つの関連自治体、平群町との連携も模索する。両市町の担当者は「竜田川流域といえば『竜田揚げ』といわれる地元の名物になってほしい」と思いを共有する。

<マメ知識>軽巡洋艦 語源説も
 竜田揚げの名前の由来にはもう一つ別の説がある。主に第2次世界大戦で支援、輸送で活躍した旧日本海軍の軽巡洋艦「龍田」から来たというものだ。ある時、司厨長が唐揚げを作ろうとしたが小麦粉がなく、代わりに片栗粉を使ったところ好評を得たという。「龍田」の由来は竜田川で、元をたどればどちらも竜田川由来になる。ちなみに竜田揚げに使う片栗粉はジャガイモから作るケースが多いが、江戸時代はユリ科のカタクリの根茎から作った。宇陀(奈良県宇陀市)産の評価が高かったといわれる。

(奈良支局長 浜部貴司)

[日本経済新聞夕刊2017年5月9日付]

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