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手づくり薫製、おうちで簡単 色も香りも本格派

NIKKEIプラス1

2017/4/29付 NIKKEIプラス1

薫製は手間や時間がかかる趣味という印象が強い。しかし工夫をすれば、自宅の台所でも5分ほどで簡単にできるという。家庭にある調理器具を活用して、晩酌に1品足してみよう。

「薫製は実は簡単。数分でできる」。フードコーディネーターで薫製のレシピなどを手掛けるみなくちなほこさんは話す。「多くの人が想像する薫製は、長期保存のためのもの。煙で香りをつけるだけならほんの数分でいい」

道具はたった5つ。どれも家庭にあるものだ。中華鍋、ボウル、網、アルミホイル、竹串。ホームセンターでスモークチップを買い足せば、すぐにでも始められる。

まずは煙のタールで汚れないように、ボウルと中華鍋をアルミホイルで覆う。次に中華鍋に鍋底が見えなくなる程度のスモークチップを敷き、その上に網を置く。準備ができたら換気扇を回して鍋を火にかける。火は中火~強火にする。チップに引火して煙がでてきたら、今度は弱火~中火に弱める。最後に食材を網に載せてボウルで蓋をすれば、あとはできあがるのを待つだけだ。

ポイントはボウルと鍋の間に竹串を1本差し込むこと。こうすることで鍋の中に空気が入り、チップの火が持続する。煙が出ていることを確認しながら数分。あっという間に香りと色がついた薫製ができあがる。

「食材はスーパーやコンビニで売っているもので十分」(みなくちさん)。そのまま食べられるものを使えば手軽だ。今回はチーズ、ラスク、しめさばの3種。煙の出る量にもよるが、いずれも3~5分いぶせば十分香りがつく。

チーズは熱で溶けてしまうので、網に接する面にはアルミホイルをつけておくのがポイント。しめさばなど表面が湿っている食材は、煙の香りがつきやすいようにキッチンペーパーでふき、表面が乾いた状態にする。網目より小さいものをいぶす場合はアルミホイルを敷き、その上に食材を置こう。

■茶葉で30秒 魚の生臭さ緩和

「茶葉をスモークチップの代わりにしてもいい」。佐賀県在住の料理研究家、藤吉和男さんは、家庭にある紅茶や緑茶の茶葉を使って30秒いぶす「30秒薫製」を提案している。「スモークチップより煙が早く、多く出るので、いぶす時間が短くても香りがつく」と説明する。

30秒薫製のおすすめ食材は、ブリの刺し身だ。「香りがつくことで、生臭さが緩和される」(藤吉さん)。熱が入らない程度の短時間なら、刺し身本来のおいしさを損なうことなく薫製にできる。冷蔵庫のチルド室に入れるなど、凍る前の状態にしてからいぶすといいという。

鍋を選ぶ際は、素材に注意しよう。みなくちさんは「フッ素樹脂などの加工がされている鍋は使わないで」と呼びかける。薫製は鍋を加熱し続けるため空だき状態になる。結果、鍋の温度が高くなり、加工がはげてしまうという。未加工の分厚い鉄製の鍋であれば安心だ。

スキレットのような底が平らな鍋の場合は、アルミホイルを団子状に丸めて網の下に置けばよい。網とチップの間に余裕ができ、食材にチップがつくことを防げる。網が鍋にぴったりはまらない場合や、脚がついていない場合も同様に丸めたホイルを使う。

ボウルの口径にも注意したい。網を置いたあと、ボウルで隙間なく鍋を覆えるものを選ぼう。大きすぎても小さすぎても煙が漏れてしまう。

■片付け楽ちん 消火は確実に

お手軽薫製は、後片付けも簡単だ。アルミホイルを外して捨てれば終わり。ただしチップや茶葉には火種が残っている場合があるので、水が入ったボウルに入れて、完全に消火してから捨てよう。鍋にタールがついてしまった場合は、「メラミンスポンジでこすればとれる」(みなくちさん)。

薫製をした直後は煙の香りが部屋に充満するが、「長時間いぶしていないので、換気扇を回して消臭剤を布類にかければ、においは定着しない」とみなくちさんは話す。

薫製にすれば、安価な食材でもひと味違うプチぜいたく気分を味わえる。できあがった薫製は味が濃すぎないので、白ワインやビールなど、どんなお酒にも合わせやすい。一品加えるだけで、いつもの晩酌もワンランクアップできる。お手軽薫製を入り口に、薫製ライフを始めてみよう。

(若山友佳)

[NIKKEIプラス1 2017年4月29日付]

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