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平淑恵の一人芝居「化粧」最終章 すべてを燃焼したい

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NIKKEI STYLE

井上ひさしが1982年に書き下ろした一人芝居の人気作「化粧」。初演から長く演じた渡辺美佐子に続き、2011年から文学座の平淑恵が担ってきた。その平が今月、"ファイナル"を迎える。

9日、静岡県沼津市の市民文化センター小ホール。500余りの客席を埋めた観客は平が演じる大衆演劇の女座長、五月洋子の一挙手一投足にじっと見入っていた。平のセリフにどっと笑い声があがり、放り投げた着物をそのまま見事に着てみせると拍手がわく。

3月中旬から静岡県内の各地を回った旅公演はこの日が千秋楽。1時間10分ほどの舞台が終わると、客席の通路に「千秋楽おめでとうございます」と書いた大きな紙を持つ人が並んだ。平は拍手に促されて何度も舞台に戻り、客席に向かって深々と頭を下げた。

平の「化粧」はこの後、25~30日の東京・紀伊国屋ホール公演を残すのみ。主催するこまつ座は"平淑恵最後の『化粧』""ファイナル"と銘打っている。

「化粧」はもともと演出家の木村光一が主宰した演劇制作体「地人会」による一人芝居の新作6本を上演する企画の1本だった。当初は一幕物だったが、木村演出の渡辺の舞台を見た井上がすぐに第2幕を加筆。単独で再演を重ね、渡辺が国内外で演じ続けた。

寂れた芝居小屋の楽屋。舞台の準備に励む女座長のもとに、かつて捨てた息子と対面するテレビ番組の企画が持ち込まれる。くしくもこれから舞台にかけるのは、やくざの若親分が生き別れの母親を訪ねる芝居。稽古のセリフと女座長の実人生が重なり、話は意外な方向へ展開していく。

はじめは素顔で浴衣姿の女座長がセリフをしゃべりながら化粧をし、衣装やカツラをつけて登場人物の姿になりきるまでを見せるのが趣向のひとつ。その間、女座長は周りにいるらしい座員やテレビ局員らと丁々発止のやりとりを続ける。

「雲の上の作品」

渡辺は2010年、28年にわたった上演を終える際に「井上さんは『にぎやかな一人芝居をつくりたい』とおっしゃった。その言葉どおり、にぎやかに演じて幕を引きたい」と話していた。後を継いだ平にとって渡辺の舞台は「雲の上のような憧れの作品」だったという。「おこがましい」との思いもあったが、同じ文学座に所属する鵜山仁の演出ということもあり「思い切ってやらせていただくことにした」と振り返る。

その鵜山は自身を「現代劇の伝統をどう継承していくかを考えざるを得ない世代」と位置づける。平は文学座で杉村春子が長く演じた森本薫作「女の一生」の主人公、布引けい役も引き継いだ。鵜山は平を「いろいろな表現の受け皿になれる資質がある」と評する。

そんな平にとっても「化粧」は困難な作品だったという。「女座長の所作や身のこなしが板についていなければいけない。見えない何人もの相手役の人物像がそこにいるかのように浮かび上がらなければいけない。それをセリフの音で表現するのは大変だった」

完成形をめざす

11年、14年と演じて練り上げた舞台。今回は「シャープにシンプルに、そぎ落とした表現で戯曲がお客さまにストンと入るように」稽古したと明かす。

こまつ座の井上麻矢代表にとっては渡辺と平の「化粧」は別の作品だという。「こまつ座としては平さんと鵜山さんの舞台が『化粧』の初演。ギリシャ神話に通じる女性の悲劇性を感じていただけるのでは」と語る。

"ファイナル"の東京公演は「芝居に完成はないが完成形であったらいい。すべてを燃焼し尽くしたい」という平。その後の「化粧」にも思いをはせる。「一人で演じることで舞台に立つ喜びと恐ろしさを一から学び、自分自身と真剣に向き合った。いろいろな女優さんが演じればいろいろな『化粧』ができると思う」

◇     ◇

市民権得るきっかけに 演劇評論家、大笹吉雄氏の話

「化粧」が初演された1980年代前半は梅沢富美男の「夢芝居」がヒットするなど大衆演劇が今よりも近いところにあった。モチーフと演出、女優が一体となり、日本で一人芝居が市民権を得るきっかけになった作品。渡辺美佐子は女座長の雰囲気をよく出していた。平淑恵が後を継いだのは意外だったが、洗練された明るい別の形をつくった。若い人は戯曲を読まないので、これからも誰かが引き継いで演じていってほしい。

(編集委員 上原克也)

[日本経済新聞夕刊2017年4月17日付]

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