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インバウンド最前線

瀬戸内に黒船 米大手が民泊で開く、訪日観光の後進地 エアビーとエクスペディア子会社がそろい踏み

2017/5/16 日本経済新聞 朝刊

エアビーアンドビーに登録された、古い民家を改修した宿泊施設(高松市)

 四国・中国の瀬戸内地域で、民泊仲介の世界大手が相次いで宿泊施設の開拓に乗り出した。米エアビーアンドビーは高松市のNPO法人と組み、離島などの古民家を改装した施設の予約受け付けを始めた。旅行予約サイト運営、米エクスペディア子会社の米ホームアウェイも地元の観光団体と提携し、このほど古い町並みが残る愛媛県内子町の施設を掲載した。民泊をきっかけに、訪日外国人(インバウンド)の少なかった地域にも新たな人の流れが生まれる可能性がある。

 エアビーアンドビーと地域振興に取り組むNPO法人アーキペラゴ(高松市)は香川県内の宿泊施設の開拓で連携する。このほどアーキペラゴの紹介で高松港そばの「瀬戸内ステイ 北浜住吉」と女木島の海辺にある「同 女木島ビーチアパート」がエアビーに登録した。古い民家や海の家を旅館業法に基づく「簡易宿所」に改装し、それぞれ2014年と16年に開業した施設だ。

 北浜住吉は6人まで泊まれて料金は1泊約2万2000円(5人以上は追加料金が必要)。女木島は15人まで泊まれて1泊約11万円(1部屋は約1万6000円)。従来も自社サイトなどで1日1組に1棟貸ししていたが、エアビーへの登録により稼働率の向上を見込む。

 アーキペラゴはアートによる地域おこしなどに取り組み、瀬戸内国際芸術祭を通じて会場の島々とも深い関わりを持つことから、これを第1弾として県内に24ある有人島を中心にエアビーへの宿泊施設の登録拡大を後押しする。

 エアビーの登録に向けては簡易宿所の許可取得を求めるなど体制整備に協力し、既存の宿泊業者や住民などの理解を得られるよう配慮する。瀬戸内海での双胴船クルーズなど体験型観光のメニューもそろえ、宿泊と組み合わせて国内外からの観光客の滞在を促す。

ホームアウェイに登録された愛媛県内子町の古民家。大正時代から続く建物を改築した

 民泊仲介大手の米ホームアウェイは瀬戸内沿岸7県の官民でつくる観光推進組織「せとうちDMO」を構成する瀬戸内ブランドコーポレーション(広島市)と業務提携した。同社が開発に携わり1棟単位で貸し出す民泊などの宿泊施設を、ホームアウェイのサイトに掲載する。

 まず愛媛県内子町の2施設の掲載を始めた。いずれも使われていなかった古民家や蔵を改装し、簡易宿所に転用した。サイトには瀬戸内の特集ページも開設。影響力のあるブロガーを招いて宿泊体験記も流し、交流サイト(SNS)やブログ、メールマガジンで情報を拡散する。

 ホームアウェイは予約者の性別や年齢、国籍、人数、宿泊日数などのデータとアンケート結果を瀬戸内ブランドコーポレーションに提供する。同社が今後5年で100カ所に計画している宿泊施設の開発に役立ててもらう考えだ。

 香川、愛媛など四国4県の総住宅数に占める空き家率は首位の山梨県に次いで上位に並ぶ。十分住めるにもかかわらず、都市部に住む所有者が管理に悩む物件は少なくない。外国人延べ宿泊者数の全国シェアは四国全体でも1%に満たないインバウンド後進地だが、瀬戸内海の多島美など観光地としての潜在力は高い。

[日本経済新聞2017年4月13日付、日経産業新聞4月20日付、日経MJ4月24日付を再構成]

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