ガサガサかかとを防ぐ 足裏全体を使う歩き方に

NIKKEIプラス1

2017/3/25付
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踵(かかと)の角質が厚くなり、ガサガサしたり、ひび割れたり、といったことはないだろうか。原因は乾燥といわれるが、姿勢や歩き方なども大きく影響する。素足の季節までに、正しいケアや予防・改善法を試してみよう。

皮膚の表面にある表皮のうち、一番外側にあるのが角質層。皮膚のうるおいを保ち、外部の刺激から守る役割がある。日々作られる皮膚細胞は徐々に角質層まで押し上げられ、やがて角質(垢=あか)となってはがれ落ちる。

角質層の厚さは皮膚の場所によって異なる。例えば顔なら0.02ミリ。再生のサイクル(ターンオーバー)は14日周期が一般的だ。だが「全体重を支える足裏の表皮は厚く、踵の角質層は約2ミリと顔の100倍。ターンオーバーには120日必要」と東京医科歯科大学医学部付属病院(東京・文京)皮膚科でフットケア外来を担当する高山かおる医師。乾燥や過剰な刺激が加わると、角質層が異常に厚くなる角化が起こるという。

踵の皮膚が角化すると、ひび割れたり、亀裂が生じたりする。ひどくなると出血や痛みを伴うことも。まずは足裏の皮膚を清潔に保ち、保湿することが大切だ。

入浴時にせっけんをよく泡立て、手で足全体を優しく洗う。はなふさ皮膚科(東京都三鷹市)の花房火月理事長は「踵を軽石などでこするのは厳禁。刺激に対する防御反応で角質層が厚くなる」という。角質や汚れがたまりやすい爪と指の間、指と指の間も1本ずつ丁寧に洗う。「角質を好む細菌が繁殖すると、臭いの原因になる」(高山医師)

入浴後は水分をよく拭き取り、角質軟化作用のある尿素入りクリームなどで保湿する。「ひび割れがひどく尿素がしみる場合は、保湿保護作用のあるワセリンを。べとつきが気になる人は、就寝まで靴下を履いておくといい」(花房理事長)。踵の角化には根気強いケアが必要だが、保湿を1カ月続けても改善しないなら「角質増殖型の足白癬(水虫)の可能性もあるので皮膚科へ」(花房理事長)。

根本的な改善には、姿勢や歩き方の見直しが必要だ。高山医師は「踵が角化している人は、踵に体重がかかり過ぎて、足指が地面につかない浮き指になっていることが多い」と指摘する。立つ時は踵と、親指の付け根、小指の付け根の3点にバランスよく体重がかかり、その中央に重心がくるようにする。

ひかり在宅クリニック(横浜市戸塚区)皮膚科の今井亜希子医師は「歩く時は足裏全体をしなやかに使って」とアドバイスする。膝と指先の向きをそろえて足を踏み出し、踵、土踏まずの外側、指の付け根へと重心を移動する。指の腹が地面にきちんと触れるように踏み切ると、親指から蹴り出せる。「重心移動を意識して歩くのが難しい場合は、腕をしっかり、特に後ろに大きく振るようにすると、自然に足裏全体を使う歩き方になる」(今井医師)

靴の選び方にも気をつけたい。踵から一番長い指先までの足長、親指と小指の付け根にある骨を結ぶ線の厚みが、自分の足に合っていること。試し履きの際は図のポイントをチェックしよう。「靴の中で足が動いて擦れるのを防ぐには、ヒモなどで調節できるタイプがいい。履く時は靴と足の踵を合わせる」(今井医師)。ヒモを結んだまま足を入れて爪先をトントンして合わせるのはよくない。

踵の荒れは見た目の問題と軽視されがちだが、高山医師は「角化をはじめとする足のトラブルは下肢機能の低下につながり、健康寿命にも影響する」という。高山医師らは「足育研究会」を設立し、啓発活動を行っている。踵ケアをきっかけに、足全体の状態にも意識を向けよう。

(ライター 田村 知子)

[NIKKEIプラス1 2017年3月25日付]