花見のお供に 桜色のワイン10選
白より飲み応えがあって、赤よりなめらかな口当たり。海外では辛口が好まれる。
ロゼはどんな料理にも合う。この春、花見をするなら桜色のワインがいい。
フランスでは白よりロゼ
ロゼの色は多彩で、薄めのオニオンスキンから、チェリーピンク、パープルピンクなど濃いものまである。代表的なセニエ法は赤ワインと同じ工程で黒ブドウの果皮と種を漬け、淡く色づいた時点で果汁を取り出す。発酵させ色素とタンニンを抽出するので、深い味わいが残る。
2000年以降、ロゼは世界的に人気となった。どんな料理にも合う万能感と、赤より飲みやすい手軽さが若者に受け、フランスでは09年に販売総額が初めて白を抜いた。
日本では甘口の初心者向けというイメージが強いが、「海外では辛口が好まれ、1年を通して需要がある」(ワイン王国の村田恵子編集長)。今回ランクインしたのは食事と一緒に楽しめる辛口タイプ。手にとれば、ワインの楽しみ方が広がる。
(写真は左端から4~10位)
香り華やか、和洋問わずマッチ
仏プロヴァンス地方、バンドールにあるワイナリー、ドメーヌ・ラフラン・ヴェロルが造る世界的に有名なロゼワイン。標高200~300メートルにある青粘土質土壌の畑で、主にムールヴェードルという黒ブドウ品種を育てている。
バラやオレンジの香りが華やか。「果実味と酸が生き生きとしている」(遠藤誠さん)のが特徴で、料理は和洋問わず様々なジャンルに合う。「京風懐石のような豪華な和食パーティーで飲みたい」(村瀬美幸さん)、「ワインから地中海の潮風が感じられ、塩ゆでしたエビとシンプルに飲みたい」(柳忠之さん)などの声もあった。
(1)生産年 2015年(2)税込み価格 3564円(3)輸入元 モトックス(4)商品サイト http://mot-wine.mottox.co.jp/
本格派 お酒好き男子も満足
フランス東部のローヌ地方にあるタヴェルは、ブドウの品種や量などが定められた「タヴェル・ロゼ」の生産地として世界的に有名だ。中でもギガル社は1946年に創業した有数の生産者で、良質なブドウ畑を数多く所有し、プロの評価が高いワインを数多く輩出している。
チェリーピンクの色合いが食卓に映える。「ロゼにしてはボリューム感があり、軽い赤ワインの感覚で楽しめる」(村瀬さん)。「普段から酒を飲む男性にも喜ばれる奥行きを感じる本格派」(松浦尚子さん)で、「後味のバランスも良く、飲み続けられる」(佐藤陽一さん)。「ビストロ系料理や中華の広州料理に合いそう」(沢樹舞さん)。
(1)2014年(2)3024円(3)ラック・コーポレーション(4)http://order.luc-corp.co.jp/shop/c/c0/
食前から食後の1杯まで
タヴェルの北、リラックにあるシャトー・ド・セグリエスがタヴェル地区で造る。ローズマリーなど野生のハーブの香りがブドウ畑に漂い、ワインも香るという。「果実味と適度なタンニンでバランスが良い。酸もしっかりでロゼでしか味わえない」(谷宣英さん)。「食前から食後まで活躍する」(高橋隼人さん)
「カモ肉やローストビーフのオープンサンドに合う」(松浦さん)、「パテやハムを使ったフレンチに」(村瀬さん)、「煮詰めたトマトソース、デミグラス、照り焼きソースと相性が良い」(沢樹さん)。
(1)2015年(2)2484円(3)モトックス(4)http://mot-wine.mottox.co.jp/
オマールなど甲殻類と合わせて
チリ中央部、コルチャグア・バレーのワイナリー、モンテス社は天使の絵がトレードマーク。2016年ヴィンテージはシラー85%、グルナッシュ15%の2種のブドウをブレンドし、香りと風味の複雑さが増した。「淡いきれいなピンク色。チェリーにスパイスをかけたようなフレッシュな香り」(名越康子さん)、「オマールなど甲殻類に合う」(佐藤さん)。
(1)2016年(2)2052円(3)エノテカ(4)https://www.enoteca.co.jp/
ブラピ&アンジーのぜいたくな1本
仏プロヴァンス地方の古い村で造られた。俳優のブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーがオーナーで、仏屈指の作り手、ペラン・ファミリーに醸造を委託している。「ミネラルをたっぷり感じる。心地よい塩味がどんな料理も引き立てるラグジュアリーな1本」(長谷川純一さん)、「ちらし寿司やヒラメの昆布締めにも」(柳さん)。
(1)2015年(2)3564円(3)ジェロボーム(4)http://jeroboamfwc.jp/
味わいにバランス コスパ抜群
仏東部、ローヌ地方の美しいバラ色のワイン。グルナッシュ、シラー、サンソーなど複数のブドウを使い、バランスのとれた味わい。「香りは穏やかだが、酸やタンニンのバランスがとても良い」(遠藤さん)。価格が2000円以下で「コスパが良い」(富田葉子さん)との評価も。「パテやリエット、シェーヴルチーズに合う」(村瀬さん)。
(1)2015年(2)1836円(3)稲葉(4)http://www.inaba-wine.co.jp/
果実味豊かでエレガント
ブルゴーニュ地方の有名な生産者、ルイ・ジャド社が手掛ける。マルサネ村で造る「マルサネ・ロゼ」を一躍有名にした生産者、クレール・ダユから畑を譲り受けた。ピノ・ノワールで造ったロゼは果実味豊かでエレガントな仕上がり。「滑らかな酸と甘みのバランスが心地良い」(佐藤さん)、「トマトを使ったカナッペなど合いそう」(谷さん)。
(1)2015年(2)3456円(3)日本リカー(4)http://www.kbwine.com
トンカツに合わせたくなる力強さ
タヴェルで注目の生産者、ドメーヌ・ド・ラ・モルドレのロゼ。ラベルのラ・ダム・ルスは「赤毛の女性」の意味。「タヴェル・ロゼ」特有の力強さがしっかり出ている。「チェリーやピンクペッパーのような香り。フルーティーで心地よい味わいはスモークサーモンに合う」(谷さん)、「トンカツと一緒でも良さそう」(柳さん)。
(1)2015年(2)3780円(3)稲葉(4)http://www.inaba-wine.co.jp/
トマト料理と飲みたい万能ロゼ
チリ中央部、ビオビオ州のイタタ・バレーで造る。修道士がチリで最初にブドウ栽培を始めた地域といわれ、チリで唯一、かんがいをせずにブドウを栽培できる。樹齢50年以上のサンソーという品種を100%使い、「本格的な辛口」(遠藤さん)。「エビ、魚介のパエリア、トマトベースの料理などに合う万能ロゼ」(沢樹さん)。
(1)2015年(2)2160円(3)ヴィレッジ・セラーズ(4)http://www.village-cellars.co.jp/
フルーツの香りあふれる
18世紀に設立されたシャトー・ダケリアは「タヴェル・ロゼ」の中でもリーダー的な存在。深いピンク色で、ラズベリーやチェリーなど赤いフルーツの香りがあふれる。「フルーティーさと豊かなボディー(味わい)の両方を楽しめる」(遠藤さん)、「ローストチキンや焼き鳥のほか、チリソース付きの揚げ春巻きなどエスニックとも合う」(村瀬さん)
(1)2015年(2)2916円(3)JALUX(4)https://www.shop.jal.co.jp/
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ランキングの見方 数字は選者の評価を点数化。商品名。4、9位はチリ産、ほかはフランス産。3本のチャートは色、香り、味わいをソムリエの谷宣英さんが5段階で評価した。(1)生産年(2)税込み価格の目安(3)輸入元(4)商品サイト。スタイリング・西崎弥沙
調査の方法 専門家に3500円程度までのおすすめのロゼワインを挙げてもらい、25本を選出。名前を伏せて試飲し、食事しながら楽しめて、ワイン愛好家も満足できる飲み応えのあるものを選んでもらった。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。
遠藤誠(遠藤利三郎商店オーナー)▽佐藤陽一(マクシヴァン)▽沢樹舞(料理家)▽高橋隼人(三越伊勢丹 食品第一商品部和洋酒バイヤー)▽谷宣英(ホテルニューオータニ エグゼクティブシェフソムリエ)▽富田葉子(アカデミー・デュ・ヴァン講師)▽名越康子(ウォンズ編集部)▽長谷川純一(俺のアカデミー サーヴィス・ソムリエ プルミエ主任講師)▽松浦尚子(サンク・センス白金ワインスクール・ショップ)▽村瀬美幸(日本チーズアートフロマジェ協会理事)▽柳忠之(ワインジャーナリスト)
[NIKKEIプラス1 2017年3月11日付]
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