N
アート&レビュー
ブックレビュー

押忍とは何か? 大森敏範著国境越えた親愛の「OSS」

2017/3/4

ブックレビュー

(三五館・1200円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

オス。押忍。相撲の心得である「押してきたら忍べ」の字を当てた。おはようございます、を縮めた「オッス」とは違う。

格闘界に生きる著者は、その「オス」の系譜を追い、戦前の拓殖大学が発祥と結論づける。アジアをめぐる当時の国策と結ばれた建学の背景、さらに表紙のデザインの印象もあり、評者は「民族派の隠語」との予断を抱いた。だが、読み進むたび、前向きに裏切られる。

オスは深く広い。異国での死を意識しつつ学友と交わる親愛の一語は、戦後の一時期、応援部などの暴力文化を象徴、やがて空手を通じて「OSS」として国境を越える。

未開の地を拓(ひら)く(拓殖)。それは平和な時代の道場こそがふさわしかったのだ。

★★★★

(スポーツライター 藤島大)

[日本経済新聞夕刊2017年3月2日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

押忍とは何か?

著者 : 大森 敏範
出版 : 三五館
価格 : 1,296円 (税込み)

注目記事