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無限の書 G・ウィロー・ウィルソン著イスラム社会 SFで描く

2017/3/3

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(鍛治靖子訳、東京創元社・2800円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

エジプト在住のイスラム教徒の作家によるサイバーパンクSFが登場した。

主人公は、中東で活躍するハッカーのアリフ。ある時、政府検閲官からハッキングを受け、危機に陥る。どうも恋人から預かった古写本が原因らしい。

この古写本が中東の説話で知られるアラビアンナイト(千一夜物語)ならぬ「千一日物語」で、人知を超える精霊の物語が組み込まれている。アリフは写本をコンピュータ上に展開して謎を探るのだが……。

多くのグラフィックノベルを手がけてきた人気作家だけあって、西洋型社会とは異なる現代イスラム社会の宗教やネット情勢が戯画化され、政治的寓話(ぐうわ)としても面白い。世界幻想文学大賞受賞作品。

★★★★

(ファンタジー評論家 小谷真理)

[日本経済新聞夕刊2017年3月2日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

無限の書 (創元海外SF叢書)

著者 : G・ウィロー・ウィルソン
出版 : 東京創元社
価格 : 3,024円 (税込み)

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